2006年01月14日
この病気にこの名医Part2
【第4回】中耳炎、虫歯などにも関係
逆流性食道炎の最新事情
「胸焼け」「呑酸」「むかつき」「のどがつかえる」「胸がしみる」などの症状を出す逆流性食道炎。食事ができなくなるほどQOL(クオリティー・オブ・ライフ)を悪くするばかりか、食道がんに結び付くと指摘されている。
その逆流性食道炎の治療は薬物療法が第1選択。薬を使って内科的に対応する。胃・十二指腸潰瘍の場合も、今日では手術をするケースはごくごくまれである。ただし、手術が選択されるケースもある。それは食道裂孔(れっこう)ヘルニアがひどい場合、患者が若く薬を何十年にわたって服用し続けなければならない場合、バレット上皮になって食道がんになりやすくなるなどの場合である。
手術は「ニッセン法」が行われている。これは腹部を開腹せずに、4個所程度に直径1センチ程度の孔(あな)をあけ、そこから治療機器や内視鏡を入れて手術を行う。胃壁の上部を緩んでいる食道下部に巻き付けて縫い付ける。これで胃液の食道への逆流を防止する。内視鏡なので入院期間は1週間程度。
「手術ではこの腹腔鏡下手術が行われていますが、米国ではより体に優しい口から内視鏡を入れて、食道の下部を狭める手術も行われています」と言うのは、兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)消化器内科の三輪洋人教授。
三輪教授の言う内視鏡下手術とは「経内視鏡的噴門部縫縮術(ELGP)」という。このELGPは、緩んでしまった胃の入り口の噴門部を、元のように胃液が逆流しない締まりのいい噴門部にする手術。内視鏡を口から入れ、噴門部の少し下の胃壁を内視鏡の先端につけた特殊な装置で吸引して縫い付ける。それで逆流を防ぐ壁にするのである。体に優しい手術とあって、今後普及すると思われるが、基本は薬物療法である。
そして、治療とは別に、逆流性食道炎の研究が大きな広がりを見せている。「逆流性食道炎が食道以外にも関係しているかもしれないのです。咽頭(いんとう)炎、喉頭炎、子供の中耳炎、虫歯、歯ぎしりなど。スタディーはまだ少ないのですが、耳鼻咽喉科と共同しての研究も始まっています」。胃液の逆流がベースとなった疾患がかなり広がりを見せそうである。
◆バレツト上皮 食道の粘膜の細胞は扁平(へんぺい)上皮細胞。ここが胃液にさらされることで胃粘膜のような細胞に変化する。それをバレット上皮という。
◆逆流性食道炎の名医
▽兵庫医科大学付属病院(兵庫県西宮市)消化器内科・三輪洋人教授
▽川崎医科大学付属病院(岡山県倉敷市)食道・胃腸内科・春間賢教授
▽島根大学医学部付属病院(島根県出雲市)消化器・肝臓内科・木下芳一教授、足立経一助教授
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
January 14, 2006 10:58 AM
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