2006年01月13日
この病気にこの名医Part2
【第3回】胸やけも治療すべき/兵庫医大病院 三輪洋人教授
逆流性食道炎(下)
胃液が食道に逆流して食道に炎症や潰瘍(かいよう)をつくる逆流性食道炎。QOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)が悪くなっているにもかかわらず、我慢し続けている人が意外に多い。
逆流性食道炎の治療・研究で知られる兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)消化器内科の三輪洋人教授は、第一線で聞いた患者の声を次のように語る。「みんな多かれ少なかれ胸焼けはあるだろうから当たり前、と思っていらっしゃる。それが、治療後は『胸焼けがないというのは、こんなに楽だったのか』と多くの患者さんが口にされます」。
逆流性食道炎の診断は内視鏡検査。食道に「びらん」や「潰瘍」があると診断はつく。「ところが、患者さんの約50%は炎症を起こすまでに至っていないのです。炎症がないのにすでに症状が出ている人も多いのです。また、その逆もあります」。痛くてもびらんも潰瘍もないと、多くの医師は「気のせいです」と言って検査を終了してしまう。「私はそれは違うと思います。やはり、胸焼けを訴える患者さんには治療を行うべきです」。
内視鏡検査では胸焼けの原因となる食道裂孔(れっこう)ヘルニアの診断もつく。また、食道がんが疑われる場合には組織を探って調べる「生検」も行われる。
逆流性食道炎と診断がつくと治療になる。治療の基本は「薬物療法」。第1選択薬はプロトンポンプ阻害薬(PPI)。「逆流性食道炎のみならず、胃・十二指腸潰瘍の特効薬でもあります。胃酸の分泌を強力に抑えます。びらんや潰瘍をつくる胃酸を抑えれば炎症は改善していきます」。
PPIとともによく使われるのがH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)。作用機序はPPIとは異なるが、やはり胃酸分泌を抑制する。
もちろん、薬だけに頼るのではなく、より薬の効果を得るために、日常生活の改善でフォローすることも重要である。<1>食べ過ぎ、飲み過ぎ<2>脂肪の多い食事<3>肥満<4>前かがみ姿勢<5>食後はすぐに横にならない…といった点に注意する必要がある。
◆胸焼けを起こしやすい食べ物 カレーライス、天ぷら、ハンバーグ、シューマイ、マグロのトロ、揚げせんべい、さつまいも、たまねぎ、カボチャ、オレンジジュース、コーラ、ビール、シャンパン、チョコレート、甘味和菓子、コーヒー、ショートケーキなど。
◆逆流性食道炎の名医
▽名古屋市立大学病院(名古屋市瑞穂区)総合内科・城卓志助教授
▽滋賀医科大学付属病院(滋賀県大津市)第2内科・小山茂樹講師
▽大阪市立大学医学部付属病院(大阪市阿倍野区)消化器内科・樋口和秀助教授
▽大阪府済生会中津病院(大阪市北区)消化器内科・蘆田潔部長
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
January 13, 2006 09:58 AM
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