健康連載ブログ

2006年01月11日

この病気にこの名医Part2

【第1回】肥満などが助長因子/兵庫医大病院 三輪洋人教授

逆流性食道炎(上)

 時代とともに、さまざまなところが、さまざまに変化を遂げる。病気もまたしかり。増える病もあれば減る病も-。

 増えている病として注目されているものの1つに「逆流性食道炎」がある。典型的な症状は「胸焼け」「呑酸」「むかつき」「胃が重い」「胃が痛い」「のどがつかえる」「胸がしみる」など。代表症状の胸焼けは、胸のあたりにチリチリ焼けるような熱さを感じる。たかが胸焼けと思うなかれ。食事ができなくなるほどQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)を悪くしてしまう。

 「胸焼けは強い酸の胃液が食道に逆流することで起こります。胃酸の攻撃を受けても胃壁はその酸から守る仕組みになっていますが、食道はそうはなっていないので傷つき、食道粘膜に炎症や潰瘍(かいよう)が出てきてしまいます。これが逆流性食道炎です」。兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)消化器内科の三輪洋人教授は説明する。

 逆流性食道炎のメカニズムには<1>胃酸過多<2>下部食道括約筋の機能低下<3>食道の蠕動(ぜんどう)運動の低下の3点が考えられている。

 <1>胃酸過多 「食べ過ぎたり、揚げ物など油を使った物は胃酸の分泌を多くし、それが胃液を増やすことになり、逆流を起こしやすくするのです」。

 <2>下部食道括約筋の機能低下 食道が胃につながる下部食道には括約筋がある。「通常、括約筋は収縮しています。だから、逆立ちしても食べ物が出てこないのです。それが加齢によって緩んだり、食道裂孔(れっこう)ヘルニアなどによって逆流しやすくなります」。

 <3>食道の蠕動運動の低下 食道でも物を先へ先へと送ろうとする蠕動運動が行われている。「胃から酸が上がってきても、その運動で胃に戻してくれます。その働きが弱いと逆流性食道炎になりやすくなります」。

 今の時代に逆流性食道炎が増えているのは、この<1><2><3>のメカニズムを助長する因子が多いからだ。若い年代に胃、十二指腸潰瘍に結び付くピロリ菌の感染者が少なく、胃液分泌が増加。食事の西洋化。そして、肥満の増加が逆流を起こしやすくしている助長因子なのである。

 ◆食道裂孔ヘルニア 胸部と腹部の間にある横隔膜には、食道が通過する孔(あな)がある。正常な状態はその孔の部分の横隔膜は下に下がって下部食道括約筋を締めている。その孔から胃の上部が上に出てしまった病気で、こうなると下部食道括約筋の力が弱まってゆるゆる状態になってしまう。

 ◆逆流性食道炎の名医
 ▽北海道大学病院(札幌市)光学医療診療部・加藤元嗣教授
 ▽東北大学医学部付属病院(仙台市)総合診療部・本郷道夫教授
 ▽東北大学医学部付属病院(仙台市)消化器内科・大原秀一医師(保健管理センター助教授)
 ▽群馬大学医学部付属病院(群馬県前橋市)光学医療診療部・草野元康助教授

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

January 11, 2006 11:20 AM

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