健康連載ブログ

2006年01月03日

中年男の養生学

【第26回】併発すると自殺危険率19.5%

「パニック障害とうつ病で自殺の危険度アップ」

 一般的に、うつ病は、症状の進行とともに自殺を考えたり、実際に実行に移してしまうことで知られる。この自殺の危険率は、パニック障害に伴ううつ病において、一気に上昇する。

 「自殺を考える割合は、うつ病のみならば7・9%ですが、パニック障害にうつ病が併発していると、19・5%になるとのデータがあります。パニック障害だけを発生している場合は、他の精神障害に比べて自殺をする比率は、それほど高くないという説もありますが、うつ病やアルコール依存症、さまざまな不安症などを併発しているときは、自殺の危険率が高くなるのです」と、ひもろぎ心のクリニック(東京都豊島区)の渡部芳徳理事長(精神科医)は言う。

 パニック障害は、何の前触れもなく起こる「パニック発作」が特徴の心の病。激しい動悸(どうき)や呼吸困難、全身の震えなどの身体の変調に加え、死や発狂を意識するほどの強い不安が伴う症状が数分程度続く。重症の場合は、2日に1回以上の割合で発作に見舞われることもある。「次のパニック発作がいつ起こるのか不安で、物事を楽しめず、いつも不安な精神状態を持つようになります。それが、やがてはうつ状態へ移行し、うつ病を併発させるのです。パニック障害と正しく診断されないまま放置すると、かなりの確率でうつ病に移行します」(渡部理事長)。

 激しい動悸や呼吸困難状態などの症状が現れたとき、最初はパニック発作とは気付かず、心臓病や肺の病気を疑い受診する。しかし、エックス線検査や心電図には異常なし。心の病と診断されたものの、心臓神経症や不安神経症、自律神経失調症などと間違われ、適切な治療を受けられないと、症状はどんどん悪化する。「患者さん自身が、別の病気だと思い込み、いくつも病院巡りをすることがあります。それは治療を遅らせ、大変危険な状態へと結び付きます」(渡部理事長)。

 重症化し、うつ病を伴うだけでなく、ほかの病を併発することもある。「不安や恐怖を酔うことで紛らわせているうちに、アルコール依存症になってしまうケースもあります」(渡部理事長)。他の心の病が併発される前に、そして、なによりも重症化する前に、早めに専門医による適正な診断を受けることを心掛けたい。

 【医療ジャーナリスト安達純子】

January 3, 2006 10:44 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/3097

このリストは、次のエントリーを参照しています: 【第26回】併発すると自殺危険率19.5%:

» 心や体の不調が続くのは「うつ病」と関係している? from 畑の月夜
日本人の15人に1人は一生に1度はうつ病にかかる可能性があると考えられます.あなたの性格はうつ病になりやすいタイプ? [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年06月16日 17:51

» 治療の基本は「休養」と「投薬」です from 畑の月夜
うつ病は,早い段階に適切な治療を受ければ治る病気です. [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年06月16日 17:52

» うつ病患者の自殺行動はどの時期か? from 畑の月夜
うつ病の治療過程で,見過ごされやすいのが回復期の突発的な自殺実行です...他にも,発症初期や再燃初期・再発初期などに同様の行動がみられます. [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年06月16日 17:57

» 中電社員うつ病で自殺 業務との関係認める from 畑の月夜
自殺した人の70~80%がうつ病か抑うつ状態というのが実態です... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2006年06月16日 18:00