2005年12月19日
中年男の養生学
【第12回】太くするにはさらなる工夫
「将来的には毛根の培養で毛髪がよみがえる」
育毛剤や男性型脱毛症薬などで効果が得られず、自分自身の毛髪量の多い側頭部を利用して植毛に取り組む。カツラではなく自分の毛髪を取り戻したい人には、最終手段ともいうべき方法だが、側頭部の毛髪量にも限りがある。生え際や頭頂部の脱毛を補うべきたっぷりとした毛髪量があればよいが、そういうケースばかりとは限らない。
「将来的には、ご自身の毛根を人工培養で増やし、植毛するという方法が行われる可能性はあります。現在、そのような研究が進められているのです」と、東京女子医科大学付属女性・自然医療研究所美容医療科の若松信吾所長(教授)は言う。
現在、1本ずつ行う植毛では、側頭部の頭皮の一部を切り取り、毛根を痛めないように1本ずつに分けて植毛されている。この毛根を人工培養により増やすことができれば、側頭部の毛髪量に関係なく、自分自身の髪をよみがえらせることは可能だ。再生医療技術が進歩する中で、毛髪に関しても人工培養が進んでいた。
「しかし、そう簡単にできるものではないのです。人工培養によって新しい毛根が生じても、太い毛はなかなか生えません。産毛は生えるのですが、太い毛にまで育たない。1本植毛においても、毛根を傷つければ産毛しか生えません。太い毛が生えるには、それなりの組織が必要と考えられるのです」(若松所長)。
人体の構造は計り知れない。毛根だけを人工的に増やすことはできても、太い毛を生やすには、さらなる工夫が必要になる。「10年か、20年後には開発されるかもしれません」(若松所長)。
いずれにしても、男性型脱毛症に関する治療は100%完ぺきなものはない。人によっては功を奏しても、そうでない場合もある。「ヘアサイクルでは、成長期、退行期、休止期を繰り返していますが、休止期から成長期にかけて毛根は下の方に伸びます。いわばネギが柔らかい畑に根を伸ばすようなもの。若い人は、それを繰り返しているため組織が柔らかい。しかし、加齢とともに進行する男性型脱毛症になると、毛根が伸びなくなり組織は繊維化してしまいます。だからこそ、早い段階で男性型脱毛症用薬などによる治療を受けることが、今は最善の策だと思います」(若松所長)。
男性型脱毛症治療の未来はまだ開けてはいない。
【医療ジャーナリスト安達純子】
December 19, 2005 11:30 AM
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