健康連載ブログ

2005年12月06日

がんと向き合う

【第55回】免疫力増強でリンパ腫縮小

「大隅寿男さんの選択(3)」

 がん専門病院で、セカンドオピニオンを受けたジャズドラマーの大隅寿男さんは、そのままこの病院で治療を受けることに決めた。

 担当医が治療の前に「約束して下さい」と挙げたのは、禁煙、民間療法を一切行わないこと。そして、入院中に病気の説明をするので自分の病気を自分で知り、医者任せにしないで自分で立ち向かってほしいということだった。

 この時を境に、どうしてもやめられなかったたばことも手を切った。「何よりありがたかったのは、仕事を含めてふだんどおりの生活をしていいという先生の言葉でした」と大隅さんは語る。まだ大黒柱として働かなくてはならない年齢だった。

 ただ1つ、担当医が尋ねたのは「仕事は楽しいですか?」という質問だった。もちろんである。聴衆の前でドラムをたたくことは大隅さんにとって何より幸せなことだった。実はここにも伏線があった。

 肝心の治療はなかなか始まらなかった。診断が下りたのが7月。秋を迎えてもまだ2週間に1度通院して様子をみるだけだった。「大丈夫なんでしょうか?」。不安げな大隅さんに医師は言った。「もう全身に広がっているのですから、慌てても仕方ありません」。このタイプのリンパ腫(しゅ)は全身のリンパ節が腫れるなど発病後5年目くらいが危ないのだそうだ。大隅さんの場合、1年半から2年前に発病しているので、あと2~3年は大丈夫。それが医師の答えだった。

 治療が始まったのは、冬も間近な11月。この時点ですでに奇跡的ともいえる変化が起きていた。治療のためにあらためて検査を行ったところ、悪性リンパ腫が縮小していたのだ。

 この間、大隅さんがしたことといえば、禁煙と規則正しく妻の食事をとるようになったこと。そして、仕事を通して病気を知った多くの仲間やファンから受けた励ましだ。これが、免疫力を上げることにつながった可能性も大きいのである。「がんの縮小は免疫力の増強と時の運でした」と大隅さんは語る。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆免疫力の増強 主治医は、免疫力を上げることも治療の一環と見ていたようで、仕事をはじめ気分が高揚して楽しいことは大いに勧めていた。

December 6, 2005 08:02 AM

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