健康連載ブログ

2005年12月02日

がんと向き合う

【第51回】塞栓は7~8割有効

「肝臓がん(5)」

 肝臓がんも、がんの数が多くなったり、大きさが3センチを超えるようになると、手術が基本になる。手術ができない場合には、肝動脈塞栓(そくせん)療法を行うのが、標準的だ。

 日本大学医学部消化器外科の高山忠利教授によると「例えば、がんの数が2~3個でも3センチを超える場合には、手術か肝動脈塞栓療法、肝臓の機能が低下していたり、がんが4個以上あれば肝動脈塞栓療法」になるそうだ。この場合は、がんも大きいことが多いので、肝臓も区域切除ではなく、葉単位で大きく切除することもある。

 肝動脈塞栓療法は、いわゆる肝臓がんの兵糧攻め。肝臓は、門脈と肝動脈という2つの血管から栄養や酸素の供給を受けているが、がんは肝動脈からだけ栄養を補給されている。そこで、肝動脈に詰め物を入れて遮断するのが、塞栓療法。一緒に抗がん剤も注入して、効果の増強を図るのが一般的だ。

 塞栓療法そのものは1時間ほどで終わるが、治療後3~4日は38~40度の高熱が出る。そのため、1週間ほどの入院が必要。「1回の治療でがんが死滅することは少ないので、何回か繰り返すのが基本」と高山教授。きつい治療なので、1カ月は間をあけて肝臓の機能が回復するのを待ち、がんが完全に壊死(えし)するか、効果がなくなるまで繰り返す。

 「70~80%の人に有効です。手術に匹敵するほど効果のある人は少ないけれど、全く効果がない人も少ない」そうだ。がんが3センチ以下で「手術と同じくらい効果を挙げて、完全にがんが壊死することもある」という。手術ができないから、絶望ではないのである。

 また、「消化器の中でも肝臓の手術は難しいので、専門的な病院で受けることをお勧めしたい」と高山教授。さらに治療法の選択に関しては今年「肝癌(がん)診療ガイドライン」が出版されている。高山教授は「20年前までさかのぼり、7000編もの論文をもとに作成したもの。治療を受ける前に読んで治療法を一緒に考えてほしい」と語っている。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆肝動脈塞栓療法 足の付け根(腕のこともある)の動脈から肝動脈まで細い管を通して詰め物を注入する。一緒に注入する抗がん剤は、エピルビシンやシスプラチンなどが一般的。

December 2, 2005 12:48 PM

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