健康連載ブログ

2005年12月01日

がんと向き合う

【第50回】一時的なつらさより生存率

「肝臓がん(4)」

 肝臓がんで1期の場合は、手術のほか、経皮的局所療法も選択できる。

 経皮的局所療法にもいくつかの方法があるが、現在の中心はラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法とエタノール注入療法。いずれも、肝臓の働きが低下して手術を受けられない人にも可能な治療法として開発されてきたものだ。そのため、手術に比べて肝臓に負担が少なく、何度でも繰り返し治療ができる点が長所とされている。どちらも、肝臓にできた3センチ以下で3個以内のがんに適応。

 エタノール注入療法の場合は、おなかから肝臓に針を刺して、がんの病巣にエタノールを直接注入。がん全体に万便なくエタノールを注入することと、CTによる検査で確認しながら、がんが完全に壊死(えし)するまで治療を繰り返すのがポイント。平均すると、治療回数は3~6回ほどで、入院期間は1カ月ほどになることが多い。

 一方、ラジオ波焼灼療法は、がんに腹部から電極を刺して、高周波でがんを殺す方法。1回の治療で3センチぐらいの範囲の細胞を壊死させることができる。したがって、エタノール注入療法より治療回数は少なくてすみ、その分入院期間も短縮される。

 いずれも治療当日から食事ができ、翌日には歩くこともできる。ラジオ波焼灼療法では高熱などの副作用が出ることもあるが、命にかかわるほどの合併症はほとんどないとされている。肝臓がんは、肝硬変という発生源を抱えている人が多いので、再発が多い。手術後5年間で7~8割の人が再発する。経皮的局所療法は、条件の範囲内であれば、あまり体に負担をかけないで何度でも繰り返し治療を行えるのも利点とされている。

 今のところ、1期の肝臓がんに対しては手術とどちらが成績がいいのか、分かっていない。外科の立場から日本大学医学部消化器外科の高山忠利教授は「経皮的局所療法は、簡便で患者の負担が軽いのがメリットとされていますが、大切なのは一時的なつらさより生存率。条件の枠を超えて経皮的局所療法を受けようという場合は、きちんとデータを確認して納得してから受けるべきです」と語っている。

 【医療ジャーナリスト祢津加奈子】

 ◆経皮的局所療法 最近発表された全国集計では、肝臓がんに対するエタノール注入療法の5年生存率は42%と報告されている。ラジオ波は新しい治療法なので5年生存率は出ていない。

December 1, 2005 07:33 AM

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