2005年11月29日
がんと向き合う
【第48回】1期の手術5年生存率85%
「肝臓がん(2)」
がんは、たいてい早期に見つかるほど治療の選択肢も多い。肝臓がんもその1つだ。
日本大学医学部消化器外科の高山忠利教授によると、「1期の場合、手術と経皮的局所療法と2つの選択肢があり、現状ではまだどちらがいいか、結論が出ていない状態」なのだそうだ。肝臓がんの場合、がんが1つで大きさが2センチ以下、血管に食い込んでいない状態が1期とされる。
この状態だと、手術もできるし、エタノール注入療法やラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法など、皮膚から肝臓に針を刺してがんを殺す治療法、つまり経皮的局所療法も選択できる。
どちらが優れているか、科学的に検証するためには、一定のルールのもとで比較試験を行わなければならないのだが、これはまだ行われていないのが現状だ。科学的な信頼性は落ちるが、治療を受けた人を過去にさかのぼって比較したデータはある。これによると、手術を受けた人の5年生存率は55%、エタノール注入療法は42%となっている。
しかし「実際に手術を受けた人は、手術に耐えられるだけ肝臓に余力があった人が多いのです。つまり、同じがんの進行度でも、その分条件がいい人なので、単純に5年生存率では比較できないのです」と高山教授は指摘している。そこで、今は「経皮的局所療法と手術の長所短所をそれぞれの専門家から説明して理解してもらい、患者さん自身に選択してもらっている」そうだ。
手術の利点は、何といっても確実にがんを摘出できること。したがって、生存率が高いことだ。高山教授によると「1期の5年生存率は、手術では80~85%に上る」という。一方、手術にはやはり合併症や手術死のリスクも伴う。肝臓は、血液が豊富な臓器なので、出血の危険もあるし、肝臓が満足に働かなくなって肝不全を起こす危険もある。しかし、高山教授によると「こうした合併症の危険は、手術法の進歩によって激減している」という。手術で命を失う人も全国平均で100人に1人足らずになっているそうだ。
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆検査 超音波検査と造影剤を注入して行う造影CT検査、血管造影が中心。肝臓がんの場合、がんの大きさと数、血管や胆管にがんが食い込んでいるかどうかで、進行度が決められる。
November 29, 2005 10:30 AM
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/2848
