2005年10月29日
がんと向き合う
【第17回】短期入院希望して乳房切除
「大空真弓の選択(3)」
今は、がん治療はできるだけ臓器を残して治療するようになっている。乳がんは、その中でも代表的ながんだ。多くの人が、乳房の温存を望む。ところが、大空真弓さんの決断は、実に「潔い」ものだった。
大空さんの場合、左乳房にできたがんは、乳首に近く、多少技術的に難しいけれど、乳首を残して乳房を温存することは可能という説明だったそうだ。昔は、乳房温存のためには、乳首からがんが何センチ離れていることといった条件があったが、今は手術技術も進んでいる。
乳房温存療法は、がんの摘出後、補助的に放射線照射が必要になる。手術で残った可能性のあるがんを放射線でたたいて完成する治療法なのである。ところが、ここで大空さんがあげた希望が、極めてユニークだ。
仕事が忙しいので一番入院期間が短い手術法を希望する。これを一番の前提にした。さらに、放射線照射によって入院・治療期間が延びるのならば願い下げ、脱毛などの副作用があると聞くので抗がん剤も使わない、アレルギー体質なのでほかの薬も余計なものは使わない。
明確な意思表示である。抗がん剤や放射線治療も行わないとなれば、乳房を切断する乳房切除しか方法はない。これが、いろいろ条件をつけて、それでも乳房を残したいというのならば、ただのわがままである。しかし、大空さんは自分の希望をはっきりと伝え、医師は医学的にそれにかなう方法として乳房切除を提示した。「本当に温存法は望まないのですね」と言う医師の言葉に、大空さんは「バッサリ切ってください」と伝えている。
つまり、希望を出すと同時に乳房を失うという結果もしっかり引き受けている。医師と患者の意思疎通、連携が実にうまくいったケースと言えるだろう。
結局、大空さんは乳房の再建術も入院期間が延びるという理由で、受けないことにした。こうして治療は、手術だけで再建術もなしと決定したのである。
◆放射線治療 温存療法の場合は、手術でがんを摘出したあとに通院で行われる。通常は週に5日、1カ月半ほど病院に通うことになる。
October 29, 2005 12:23 PM
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