健康連載ブログ

2005年10月28日

がんと向き合う

【第16回】まず病巣を摘出して生検

「大空真弓の選択(2)」

 テレビが一家だんらんの象徴であった時代。大空真弓さんはよくちょっとそそっかしいけれど、気丈で明るく頼りになる存在、といった役柄を演じていた。

 大空さんほど、そのイメージと実像が近い人も珍しいのではないだろうか。あれほど乳がんの告知を冷静に受け入れた人が、事務所に連絡した時は子宮がんと伝えている。自分でも変だと思って知人に連絡し、「そうだ、乳がんだったっけ」と慌てて訂正している。

 しかし、治療方針となると、大空さんには確固とした信念があった。まず仕事、そして周囲の人にできるだけ迷惑をかけないことである。それが、治療方針を決める判断基準だった。

 大空さんの乳がんは、「粘液がん」という特殊なタイプだったそうだ。シコリがブヨブヨしていたのは、粘液がゼリー状の塊になり、その中にがん細胞があったからだ。がんとしてのタチは悪くないが、治療の前に、まずこの塊を摘出し、細胞の顔つきや広がりを確認しなければならない。生検である。

 ところが、大空さんの左乳房にできたゼリー状の塊は、すでに直径5センチ近い大きさになっていた。これを取り出すには全身麻酔が必要になる。それで、もしがんが広がっていないと分かれば、それ以上の手術は必要ない。

 だが、もしがん細胞が広がっていた場合には、あらためて手術が必要になる。といっても、全身麻酔で生検を受ければ、翌日手術というわけにはいかない。つまり、入院期間が長くなる。可能性としてはこちらの方が強かった。

 それが、大空さんには嫌だったという。「当時はテレビの連続ドラマの収録中で、大事な舞台も控えていました。とても、そんな時間はなかったのです」。

 結論は、病巣を摘出して生検を行い、がんの広がりが確認されれば、そのまま乳がんの手術に入るというものだった。

 ◆生検 組織を摘出して顕微鏡で調べ、がんかどうかを確定する検査。針を刺して吸引する方法と組織を外科的に摘出する方法があるが、大空さんの場合は後者を全身麻酔で行う必要があった。

October 28, 2005 10:00 AM

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