2005年10月26日
がんと向き合う
【第14回】人生観に基づいて塾考
「前立腺がん8」
前立腺がんがリンパ節や骨などに転移を起こした場合、力を発揮してくれるのがホルモン療法だ。放射線療法や手術は、局所のがんにしか効果がないが、ホルモン療法は全身に効果がある。静岡県立静岡がんセンター院長の鳶巣賢一先生によると、「骨転移して、腰痛や尿が出ないといった症状に苦しんでいた人でも驚くほど元気になる」という。
ホルモン療法には、どのような方法があるのだろうか。鳶巣先生によると、昔から行われているのは男性ホルモンを分泌する精巣を取る精巣摘出術。永久に男性ホルモンの分泌を止められるのが利点だが、精神的な苦痛もあるし、最近は休薬期間をおいてホルモン療法を行う間欠療法が普及してきたので、あまり行われなくなった。
現在の中心は、LHRHアナログという注射薬。精巣をとるのと同じ効果がある。これを月に1回か3カ月に一度注射する。ホルモン療法の宿命で、やがてこの薬も効かなくなるが、男性ホルモンの働きを抑える抗男性ホルモン剤の飲み薬もある。それがダメでもエストロゲンという女性ホルモン剤を使えば、またPSAの値が下がることもある。
それでもPSAが上がってきたらステロイド剤を使う。かなり厳しい状態の人でも食欲が出たり、痛みが軽くなるそうだ。こうした治療によって、「骨にもリンパ節にもたくさん転移がある人でも平均して2年、リンパ節にいくつか転移がある程度ならば10年生存率は2~3割。5年生存率は5割を超えるでしょう」と鳶巣先生は語っている。転移しても、なお治療で元気に過ごせる時間が長いのが、前立腺がんなのである。
鳶巣先生は「前立腺がんは治療の選択肢が広く、患者さんが置かれた状況で選択肢も変わってきます。まず、がん細胞の悪性度、病巣の広がり、各治療法の利点と欠点を知り、自分の生き方や人生観に基づいて治療法を選択することが大切です」と語っている。進行が遅いので、3カ月くらいは時間をかけて考えてもいいそうだ。
◆陽子線治療 陽子線を使った放射線療法。従来の放射線に比べてがんにエネルギーを集中できるので、副作用が少なく効果も手術に匹敵する。早期の前立腺がんが対象で費用は280万円ほど。
October 26, 2005 10:13 AM
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