2005年10月24日
がんと向き合う
【第12回】抑え込むホルモン療法
「前立腺がん6」
手術、放射線に続く前立腺がんの第3の治療法が、ホルモン療法だ。前立腺がんの多くは、男性ホルモンの刺激で成長する。そこで、ホルモン療法は、男性ホルモンの分泌を抑えたり、その働きを阻止してがんを抑え込む。
実際に、前立腺がんにはホルモン療法がよく効く。しかし、ここで間違ってはいけないのは、ホルモン療法は「がんを治すのではなく、がんを抑え込む治療法」であることだ。静岡県立静岡がんセンター院長の鳶巣賢一先生は「ホルモン療法は、一時的にがんを抑えるだけで長い間にはいずれがんが再燃します。ですから、転移がない限り第1選択にはなりえないのです」と語っている。
第1選択とは、一番最初に勧められる治療法といった意味だ。ホルモン療法は、薬による治療なので安全で体の負担も少ない。そのため、昔は早期でもホルモン療法が行われていたそうだ。ところが、ホルモン療法にも副作用はある。男性ホルモンの働きを抑え込んでしまうので、100%勃起(ぼっき)障害が起こる。性的な意欲も失われ、乳房が女性のように膨らむこともある。
さらに、女性の更年期障害と同じようにのぼせやほてり、発汗、不眠、うつなどの症状が現れる。これが、長期になるとかなりつらいのだという。「アクティブに動いている人には、集中力も落ちるし眠れないなど大変なのです。更年期障害と似ているといっても、健康な女性の場合とは違うのです」。
前立腺の早期がんは先が長い。5年も10年もホルモン療法を続けていると、高血圧や高脂血症が助長され、心筋梗塞(こうそく)や脳梗塞のリスクも高まると言われている。
「高齢で心臓にも特に問題がない、手術も放射線も嫌という人には、早期でもホルモン療法という選択肢もあり得ます。でも、若い人はホルモン療法で一時的にがんを抑えることはできても一生逃げ切ることはできないのです」と鳶巣先生は語っている。
ホルモン療法が本当の力を発揮するのは、もう少し進んだ段階だ。
【医療ジャーナリスト祢津加奈子】
◆がんの再燃 ホルモン療法を続けていると、やがてホルモン療法の効かないがん細胞が生き残り、これが増殖してまた大きくなると考えられる。
October 24, 2005 09:51 AM
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