健康連載ブログ

2005年10月23日

がんと向き合う

【番外編】科学的根拠に基づく欧米の「結論」

「世界の標準治療と日本の標準治療」

 今、医療の世界では「EBM」という言葉が盛んに使われている。日本語に訳すと、科学的根拠に基づく治療。

 昔は、経験に基づく治療や権威の勧める治療法が幅を利かせることもあったが、治療法が限られていたので、それほど大きな問題になることも少なかったのである。しかし、今は違う。

 がん治療でも、新しい抗がん剤が次々と開発され、組み合わせ方もいろいろ試されている。手術もあれば放射線もある。それを併用する治療法もある。いったい、今の時点でどの治療法がベストと言えるのか、医師でさえ判断するのが難しくなっているという。

 そこで、世界的な規模で大勢の患者さんに参加してもらい、治療法を比較する試験を実施。その結果、一番治療成績が高かったものが、その時点での標準治療とされている。つまり、科学的根拠に基づいた治療である。

 ところが、実際には世界的にはこれが標準治療だけれど、日本ではこっちが一般的というケースが結構ある。特に手術や放射線治療は、個人の技術力の差もあるし、文化や歴史、体格の差などもあって、抗がん剤ほど簡単には比較しにくい。

 例えば、日本では昔から手術が優先して考えられてきた。転移の可能性があれば、米粒より小さなリンパ節も丁寧にかきとる。しかし、欧米ではそこまで複雑な手術をすることは少なく、放射線治療が好んで行われてきた。

 歴史も背景も異なるので、なかなかその結果を単純に比較することが難しいこともあるのだ。しかし、逆にすでに世界的な比較試験で結論が出ているのに、日本でその結果が十分に受け入れられていない場合もある。

 これが今の標準的な治療法ですと言われた場合には、世界的に認められた標準治療なのか、違うとすればなぜ別の治療法がいいと考えられるのか、その理由を聞いてみることも必要なのである。

 ◆臨床試験 標準治療の基礎となる臨床試験は欧米で行われたものが多い。日本人にも同じ結果が当てはまるのかが常に問題となってきたが、最近ようやく日本でも科学的な臨床試験が行われるようになってきた。

October 23, 2005 10:23 AM

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