健康連載ブログ

2005年10月21日

がんと向き合う

【第10回】手術で治る率UPも合併症の危険

「前立腺がん4」

 がんが前立腺内にとどまる場合、基本的には手術と放射線治療という2つの選択肢がある。

 手術のメリットは、何といっても治る率が高いことだ。前立腺がんの場合、進行が遅いので10年生存率ががんが治った目安になる。静岡県立静岡がんセンター院長の鳶巣賢一先生によると、「手術による10年生存率は90%を超える」と言う。ちなみに放射線治療では、80%とされている。

 ただし、手術の場合は入院期間も含めて1カ月ぐらいは休養をとる必要がある。さらに尿もれや勃起(ぼっき)障害などの合併症が出る危険性がある。もっとも、鳶巣先生によると「最近では、手術も進歩し、日常生活に支障が出るほどの尿漏れが起こる人は1~2%」だそうだ。

 しかし、勃起障害の方はかなりの比率で起こる。勃起機能をつかさどる神経を残すことができれば、勃起機能は残せるのだが、この神経は前立腺のすぐ両脇を走っている。そのため、無理に残すとがんを取り残す危険も出てくる。したがって、ごく早期でもない限り、勃起障害が起こると考えた方がいい。

 こうした合併症と治る確率の高さをどう考えるかだ。この時期だと、今は腹腔(ふくくう)鏡下の手術も注目されている。メスで腹部を切開する代わりに、孔(あな)をあけて腹腔鏡という内視鏡を挿入し、手術と同じように前立腺を切除する方法だ。傷が小さく痛みも少ない、入院期間も短いというのがメリット。しかし、鳶巣先生は「いずれは、腹腔鏡下手術の方向に行くと思いますが、今はまだ過渡期。技術の差が大きすぎます」と語っている。

 もともと前立腺の手術はあまり痛みが強いわけではないらしいが、やはり問題は医師による技術の差が大きいことだ。腹腔鏡の場合、狭い視野の中で手術をするので、不慣れな人だと尿漏れなどの合併症を起こす危険も高くなる。つまり、みんなが一定以上のレベルに達しないと、標準的な治療とはいえないというのである。

 ◆前立腺の手術 前立腺と精のうを、前立腺内部を走る尿道と一緒に丸ごと切除し、膀胱(ぼうこう)と切断した尿道の端をつなげる。平均3~4時間の手術で、入院期間は2週間ほど。

October 21, 2005 10:01 AM

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