健康連載ブログ

2005年10月19日

がんと向き合う

【第8回】低危険群は経過観察

「前立腺がん2」

 静岡県立静岡がんセンター院長の鳶巣賢一先生によると、「早期の前立腺がんには、治療をしないで経過を観察するという選択肢もあり得る」という。

 これは、具体的にはどういうケースなのだろうか。前立腺がんには、PSAという非常に感度の高い腫瘍(しゅよう)マーカーがある。PSAは、がんの目印のようなもので、早期発見に威力を発揮するだけではなく、がんが大きくなるほど数値も上がるとされている。つまり、がんが前立腺という土俵の中にとどまっているのか、土俵を割って外に出ているのか、あるいは遠くの観客席まで飛んでいるのか、おおよその進行度を知る目安にもなる。

 といっても、PSAは目安で個人差も大きい。特に、血清1ミリリットル中に含まれるPSAが10ナノグラム以下の場合、グレーゾーンといわれ、がんが見つかる人は3~4割しかない。そこで、PSAで異常があった場合には、前立腺に満遍なく針を刺して組織をとり、顕微鏡でがん細胞の有無をみる。これが生検と言われる検査だ。

 生検によって、がんかどうかが最終的に判断できるので、これは確定診断といわれる。それだけではなく、がん細胞の顔つきをみることで、がんとしてのタチ(組織分化度)、つまり前立腺がんの中でものんびりしたがんか、足の早いがんなのかも分かる。

 そこで、最近は転移のない前立腺がんは、PSAの値と生検でみたがんのタチ、さらにがんがどこまで広がっているか(臨床病期)という3つの要素から、治療方針を決めることが多いそうだ。

 実際には、低危険度群、中危険度群、高危険度群という3つのグループに分類される。この中で、治療をしないという選択肢もあり得ると鳶巣先生が言うのが、低危険度群。PSAの値が10ナノグラム以下のおとなしいがんで、前立腺の中にとどまっていると思われるものだ。分かりやすく言えば、ごく早期の小さくておとなしいがんだ。

 ◆PSA値 血清1ミリリットルあたりに含まれるPSAの量。個人差も大きいが、4ナノグラム以下が正常とされる。ただし、前立腺がんに特異的な目印ではなく、前立腺に特異的な目印なので、前立腺肥大や前立腺炎でも上昇する。

October 19, 2005 09:47 AM

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