2005年10月09日
アンチエイジング医学最前線
【第87回】キレーションで鉛排出
「今後の期待」
アンチエイジング医学の目的は、死ぬ間際まで元気で過ごせる健康状態を実現させることである。高齢者が感染症にかかったり外傷を負うと、以前より元気がなくなることがよくある。現実的に有効な老化予防は、まず病気やケガを予防することなのである。
日本抗加齢医学会の理事を務める坪田一男・慶応義塾大学医学部教授は「アンチエイジング医学は、病気が発症するまで病気ではない、という従来の概念から1歩進んだところがあります」という。
例として鉛汚染についての最近の考え方を坪田教授は挙げる。米国疾病管理センターの鉛中毒とする基準は1950年では血中濃度60マイクログラム/デシリットルだったが、現在は10マイクログラムとかなり厳しくなっている。少量であっても有害重金属は害をもたらす可能性があることから、鉛中毒として治療の対象になったものだ。
「老化が病気を招くなら米国の鉛中毒への対応と同じように考えるべきでしょう。老化を防ぐ方法があるなら積極的に活用しようとしているのがアンチエイジング医学ともいえます」と坪田教授。
キレーション療法と呼ばれるものがある。金属イオンと結びつき、体外への排出効果のあるキレート剤を静脈点滴するものだ。もともとは鉛中毒患者の治療として行われていたものだが、最近は抗酸化作用、血管内の老廃物付着の防止効果などから、アンチエイジングの一療法として注目されている。
「キレーション療法に関しては体内の鉛を排出することで腎不全の進行を抑制できるとの論文も発表されています。重金属は神経系、免疫系や眼の疾患にも悪影響をもたらします。キレーション療法はまだ研究途中ですが、アンチエイジング医学に重要な方向性を示すものの1つだと思います」(坪田教授)。
東洋医学における未病の概念のようにアンチエイジング医学は、症状が出る前から病気は始まっているととらえる。これに対してしかるべき対処をすることは、医療として求められても当然、と坪田教授は考えている。
【ジャーナリスト 小野隆司】
◆キレート剤 合成アミノ酸のEDTA(エチレンジアミン4酢酸)などが使われる。鉛、水銀、鉄、銅、アルミニウムなどミネラルの除去作用がある。体内の有害金属のレベルを調べる手段として血液・尿検査と並行して毛髪ミネラル検査がよく行われている。
October 9, 2005 10:23 AM
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