2005年10月04日
アンチエイジング医学最前線
【第82回】ライフスタイルが影響
「肥満対策」
肥満は簡単にいえば摂取エネルギー量が消費エネルギー量を上回ることから始まる。余分なエネルギーは中性脂肪に変換され、脂肪細胞に蓄積されるメカニズムが働くからだ。食べ過ぎ、運動不足は当然、肥満の主な原因である。体の中で消費エネルギーの多い筋肉の衰えも肥満を招く。中年太りはその典型ともいえる。
東京慈恵会医科大付属病院で肥満専門外来を担当していたこともある大野誠・日本体育大学大学院教授は「肥満型食事スタイルといえるものがあります。一般に太っている人は夜にまとめ食いをする傾向があり、動物実験ではまとめて食べる方が明らかに多くの体脂肪が蓄積します」と言う。
人間の体は昼間は交感神経が優位になる。胃の運動も活発になり消化吸収が進む。夜は副交感神経が優位となり腸の運動が高まり、栄養素を吸収して体内に蓄積する生体リズムになっている。最近、この生体リズムを刻む体内時計を調節しているBMAL1というタンパク質が、夜間に脳と脂肪細胞に増えて体脂肪の蓄積を促進していることが分かった。
「夜に大食すると、朝は食欲が起きず欠食になるケースが増えます。国民栄養調査では男女とも欠食ありの人は、欠食なしの人と比べて皮下脂肪が厚いという調査結果も発表されています」と大野教授。
ヤセの大食いという言葉があるように肥満は体質の差も結構あるが、肥満を招きやすい食事パターンが知られている。<1>早食い・ドカ食い・ながら食いが多い<2>脂っこいものや油を使った料理が好き<3>お菓子やジュースなど甘いものを毎日とる<4>夜食または間食をすることが多い<5>飲む、食べることでストレスを発散する、などが肥満要因のチェックポイント。
「運動不足も含めて現代人の肥満にはライフスタイルが大きく影響しています。肥満を招きやすい生活習慣をいかに変容していくかが肥満防止の対策になります」と大野教授はアドバイスする。
体質からいえば日本人は倹約遺伝子の働きが欧米人(白人)よりも活発で、食べたものを体脂肪(エネルギー源)として蓄えやすい。本来、飢餓に強いサバイバル能力といえるが、飽食の時代では逆に肥満やそれにともなう生活習慣病につながっている。
「先祖伝来の食習慣を放棄し、高脂肪・高糖質の欧米型食習慣に急に移行した社会で、肥満と生活習慣病が急増しているので要注意です」と大野教授は話す。
【ジャーナリスト 小野隆司】
◆世界の肥満人口 WHOではBMI25以上の肥満人口を約11億人と推定している。日本は男性1300万人、女性1000万人が相当している。15歳以上に占める割合は約20%。米国、ロシア、英国、ドイツなどは軒並み50%を超えている。
October 4, 2005 09:57 AM
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