健康連載ブログ

2005年10月31日

がんと向き合う

【第19回】信頼できる医師に一任

「大空真弓の選択(5)」

 乳がんを無事克服した大空真弓さんだったが、それはがんの序幕だった。その2年と1カ月後、01年1月には胃がん、03年には食道がんと診断された。胃がんは2度告知されているから、5年間に4つのがんを経験したことになる。

 再発や転移ではなく、あらためてがんが発生する「多重がん」だった。がんが治るようになって、複数のがんを経験する人も増えている。大空さんの場合、いずれも早期に発見されているので、胃がんは内視鏡で切除できたし、食道がんも通常ならば手術になるところを、医師たちが悩んだ揚げ句、内視鏡での切除となった。

 これだけ多くのがんを病み、家系的にもがん死が多いとなると、相当がんについても勉強したのではないかと思った。ところが、大空さんは「医療のことは分からないから」とあっけらかんとしている。食道がんの治療法で、医師たちが討論していた間も、大空さんはのびのびと舞台に集中していた。

 この平静さは、どこからくるのだろうか。大空さんは、何でも話せる友人をつくること、そして信頼できる医師との巡り合いだという。信頼できる医師の言葉には、面倒な質問はしないで素直に従う。

 大空さんは若いころ、盲腸の手術で麻酔の失敗から脊髄(せきずい)液が漏出。激しい頭痛のためにはってトイレに行くほどつらい経験をしている。病院や医師によってひどいことになるのもよく分かっているのだ。大勢の人に会って人を見る目も養われた。その目で見て、今回治療にあたった医師たちを大空さんは全面的に信頼している。

 信頼しているから、多少痛みがあろうが、苦しかろうが治療に文句は言わない。だから、一層信頼関係が増していく。そんなサイクルができているようだった。

 信頼する医師に巡り合えたら、専門家であるその人にすべてを任せる。それも立派な治療の選択肢であると思う。今、大空さんは舞台「細雪」(27日から明治座)に向かって、また走っている。

 ◆死生観 大空さんは死に対する恐怖もないと語っている。「三浦綾子さんなど素晴らしい生き方をされた方も見ていますし、大事なのは命をどう使うかです」。尊厳死協会にも入会している。

October 31, 2005 10:17 AM

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