健康連載ブログ

2005年09月25日

アンチエイジング医学最前線

【第73回】増えている黄斑変性

「眼疾患」

 昨年10月、慶応義塾大学病院に眼科抗加齢医学外来が設けられた。抗加齢医学を標ぼうする眼科の専門外来は日本で初めてのことだ。高齢者の失明原因の主因となっている加齢黄斑変性と呼ばれる眼疾患の治療だけでなく、その予防や新たな治療の研究も行っている。

 黄斑は網膜の中心部にあり、ものを見るために最も敏感な場所である。同外来を担当している今村裕医師は「黄斑変性をもたらす成因については不明な点が多かったのですが、最近、その発症メカニズムが分かってきました。酸化ストレスが大いに関与しています。加齢そのものを制御するアプローチが必要な病気なのです」と説明する。

 網膜は酸素消費が激しい器官。単位あたりに換算すると脳より消費量が多い。それだけ活性酸素が発生しやすい。網膜を照射する太陽光線も活性酸素を発生させる。いくつかの疫学調査、臨床試験、病理検査から酸化ストレスが黄斑変性の原因になっていることが明らかになってきた。

 「黄斑変性は視野の真ん中が暗くなったり、ものがゆがんで見えたりするのが特徴です。視力もかなり落ち、米国では糖尿病性網膜症を抜いて失明原因の1位になっています。有効な治療法の確立が求められている病気の1つです」と今村医師。

 加齢黄斑変性は厚生労働省の特定疾患(難病)に指定され、日本でも増えている。高齢になるにつれ多くなる。正確な患者数は分かっていないが、福岡市に隣接する久山町の住民を対象にした研究では、進行型の加齢黄斑変性を有する人は50歳以上の人口の0・87%を占めている。

 目の病気はQOL(生活の質)を低下させる。寝たきりになる理由(東京都調査)でも眼疾患は女性で2位(7・1%)、男性で5位(3・2%)。健康寿命の延長を目指すアンチエイジング医学で、加齢黄斑変性の予防・治療法の確立はメーンテーマでもある。

 「カロテンやビタミンEなど抗酸化物質を多く摂取している人は加齢黄斑変性の発症リスクが低いという米国の大規模疫学調査もあります。酸化ストレスの除去が予防のカギになるでしょう」(今村医師)。

 具体的な予防・治療法は次回で。

 ◆黄斑 網膜はいろいろな色素が含まれていて、中でも黄色が目立つことから、この名が付いている。視力の維持や色の判別など、ものを見るときに大切な働きをしている。

September 25, 2005 12:10 PM

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