2005年09月24日
アンチエイジング医学最前線
【第72回】運動で骨と筋肉維持
「寝たきり防止」
骨量、筋肉量の維持には運動が欠かせない。特に筋肉量は使わないと低下が著しい。日常生活での歩行なども運動になっているため実感できないが、宇宙飛行などの無重力状態では2日で1%の割合で筋肉量が落ちるとされる。寝たきり状態では2日に1%の割合で落ちる。
寝たきり防止と栄養・運動の関係を研究している松雄達博・香川大学農学部助教授は「加齢に伴う筋肉量の減少は上半身より下半身の筋肉の方が衰えが早い。下半身の中でも太ももの筋肉である大腿(だいたい)四頭筋の減少が目立ち、寝たきりの原因ともなっています」と話す。
松尾助教授のラットを使った研究では、老齢になっても高たんぱく質の間食を与え、軽いレジスタンス運動であるクライミング運動を日常化させたところ、筋肉・骨量とも増加することが確認されている。
骨粗しょう症の治療でも運動療法は大きな柱。骨にかかる際に発生する生体電気の電圧変化(ピエゾ電位)が骨をつくる骨芽細胞を活性化する。運動による血流増加は骨形成を促進する効果もある。硬い骨質の主成分となるカルシウムの摂取を心がけることは当然、大事だが運動による刺激が体内のカルシウムの利用効率を高め、骨量の維持にも働く。
高齢者の健康度の尺度ともなっているSDL(日常生活動作能力)は、骨と筋肉が支えているといってもいい。そのためには「肥満解消や寝たきり防止など目的に応じた食べ方、足りない栄養素を補う柔軟さ、栄養効果も高める軽レジスタンス運動の3つがポイントになります」という。
上記の3点は健康増進、生活習慣病予防にも役立つ。エイジング(加齢、老化)による身体の変化は不可逆的なものだが、その変化のスピードは環境条件に左右されることも間違いない。老化を病気に見立てるなら徐々に進行する慢性疾患。治療の基本はいかに進展させないか、になる。
「健康を守るものは結局のところ摂取栄養素と身体活動のバランスです。バランスを回復させる手立てが病気を防ぐことになります。高たんぱく質の摂取とレジスタンス運動の日常化は骨と筋肉の減弱化の抑制となり、高齢者の寝たきり防止につながるはずです」と松尾助教授は強調する。
◆中高年の筋力変化 国立長寿医療センター疫学研究所の4年間の追跡調査(男848人、女783人対象)では筋力の低下は女性および高年者で低下量が大きいことが分かった。余暇身体活動も下肢(し)筋肉の低下具合が関連している。
September 24, 2005 09:31 AM
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