健康連載ブログ

2005年09月21日

アンチエイジング医学最前線

【第69回】筋肉運動とたんぱく質摂取

「寝たきり防止」

 年を取れば、身体は若い時と当然、違ってくる。健康度を測るモノサシも変わってくる。WHO(世界保健機関)の定義によると高齢者の健康度は、生活機能の自立で測られる。

 歩行・食事・着替え・入浴・排せつなどの日常生活動作能力(ADL)や社会的関係が普通にできていれば健康なのである。健康長寿を目標とするアンチエイジング医学でも老化に伴うADL低下にどう対処するかは、大きなテーマになっている。

 栄養学が専門で食事と運動が生体内代謝に及ぼす影響を研究している松尾達博・香川大学農学部助教授は「一般的に体が動かなくなる直接的な原因は、骨と筋肉の衰えです。老化現象ともいえますが、衰えの進み具合を遅くすることが元気で長生きすることにつながるはずです」と言う。

 寝たきりの主な原因になっている転倒・骨折には加齢に伴う骨・筋肉の衰えが関係している。大腿(だいたい)骨の骨密度と大腿四頭筋(太もも前側の筋肉)の筋肉量は40~50代から減少が目立ってくる。

 「骨と筋肉の衰えは加齢による代謝の変化とかかわりがあります。高齢者はたんぱく質の合成能力が低下しています。また加齢とともに食事摂取量が減るために骨や筋肉の材料となるたんぱく質が不足することも衰える理由の1つと考えられます」と松尾助教授は解説する。

 最近の研究では肝臓・消化管などの内臓組織のたんぱく質合成量は高齢者になっても衰えていないことが分かってきた。顕著なのは筋肉におけるたんぱく質合成量なのである。「食事で摂取したたんぱく質に由来するアミノ酸の多くが内臓組織の維持に使われていることになります。骨や筋肉を維持するには、十分なたんぱく質を摂取することが重要です」と松尾助教授。

 松尾助教授はラット実験で高たんぱく質の食事をさせると骨や筋肉へ供給されるアミノ酸量が減少しないことを実証している。また筋肉に負荷を与える軽いレジスタンス運動を習慣化させたラットは骨量・筋肉量とも増加した。ADLを維持するにはたんぱく質摂取と筋肉運動がカギになるということだ。

 ◆骨密度と筋肉量の減少度 骨密度は20代がピーク。エストロゲン(女性ホルモン)の急激な変化から骨粗しょう症が多い女性では60代で3割ほど骨密度が減少している。筋肉量は40代からは1年で1%程度減っていくといわれている。そのスピードは運動不足により助長される。

September 21, 2005 10:22 AM

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