健康連載ブログ

2005年09月16日

アンチエイジング医学最前線

【第64回】「抵抗感ない社会を」

「うつ病対策」

 「私はバリバリの鬱(うつ)です」。そう語りかける女優の木の実ナナさんが登場する製薬会社の広告が話題を呼んだことがある。5年前のことだ。堂々とうつ病を告白することも珍しかったが、うつ病治療にとって周囲のサポートにつながるカミングアウトは改善につながるのである。

 臨床精神医学、精神療法が専門分野の大野裕・慶応大学保健管理センター教授は「うつ病治療に周囲のサポートは欠かせません。その意味で自分がうつ病であることを言える環境づくりも重要な問題です」という。

 日本でも学校、企業などで精神カウンセリングの場を設けるところも増えてきたが、機能しているかどうかは分からないのが現状だ。うつ病=精神的に弱い、との評価は根強くある。心の風邪と呼び、誰でもかかる可能性はあるものの、「うつ病という病名は有名になりましたが、他人事と思っている人が多いのも事実です」と大野教授は実感を語る。

 日本の場合、精神科を訪ねる抵抗感が強く、心理カウンセラーも国家資格にはなっていない。国家資格にする法案が先の国会で上程目前に見送られている。95年の阪神大震災以降、心のケアが叫ばれているが、社会的整備は全く進んでいないといっていいだろう。

 このところ毎年3万人を超える自殺とうつ病の関係、こどものうつ病の増加などの問題もある。子どものうつ病に関しては英国での研究では、思春期前で0・5~2・5%、思春期に2~8%がかかっているとの報告がある。内向せず周囲に攻撃的になり、問題行動、非行の陰にうつ病が関係しているとの指摘もある。

 「来年度から新しくスタートする介護予防事業で高齢者のうつ病への取り組みが行われます。これを契機に心のケアに対する社会的サポートが前進することを期待したいです」と大野教授は締めくくる。

 これからの医療はWHO(世界保健機関)が定義する「健康とは何事に対しても前向きの姿勢で取り組めるような精神および肉体、さらに社会的にも適応している状態」を実現することであってほしい。

 ◆サポートの注意点 (1)心配し過ぎない(2)励まし過ぎない(3)原因を追究し過ぎない(4)プライバシーを尊重する(5)精神科医など専門家に相談する時は必ず本人と話し合い了解をとる、こと。

September 16, 2005 10:41 AM

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