2005年09月13日
アンチエイジング医学最前線
【第61回】さまざまな病気と合併
「うつ病対策」
2006年度から始まる新しい介護予防事業では、高齢者のうつに対する早期発見の推進など本格的な取り組みが行われる。昔から病は気からといわれているように、精神的な問題が健康に及ぼす影響は大きい。
臨床精神医学、精神療法を専門とする大野裕・慶応大学保健管理センター教授は「うつ病はいろいろな病気と合併して起こっている場合が多いのです。うつ状態が病気をさらに進行させる悪循環ももたらします。高齢者に限らず、病気治療にうつ病対策は欠かせない状況になっています」と説明する。
最近発表された6500人以上を対象とした大規模調査では、2型糖尿病患者は、うつ病や神経症など心の病気にかかる割合が糖尿病でない人と比べ約3倍も高い、と報告している。うつ病に限定しても2倍以上高い。他の研究でも、がん患者は20~38%、冠動脈疾患では20~30%、認知症では70%近くの人がうつ病を合併しているとのデータがある。
「うつ病は免疫機能を低下させることも分かっています。400人近くを対象にストレス度を診断してから風邪ウイルスを感染させたところ、ストレス度の高い人ほど風邪を引きやすかったという有名な実験もあります」(大野教授)。
うつ病は“心の風邪”と称されるようにもなってきているが、現状では治療に行く人が少ない部類に入る。病気に対する偏見がまだまだ強く、うつ病に関する認識もいまひとつである。
大野教授はうつ病のサインともいえる症状を知っておいてほしいという。<1>毎日の生活に張りが感じられない<2>これまで楽しんでやれた趣味や活動などが楽しくない<3>楽にできたことがおっくうになる<4>自分は役に立つ人間だと思えない<5>わけもなく疲れたような感じがする、の5項目だ。
「5つのうち2つ以上当てはまり、こうした気分が2週間以上続くなら、うつ病が心配されます。また食欲低下、睡眠障害、注意力散漫といった症状を伴う場合もあります」と大野教授は話す。
対処次第では地獄の苦しみを味わうのがうつ病の怖いところだ。
◆うつ病人口 受診率が低いため実情をつかむことが難しい。厚生労働省の調査(02年)では、うつ病など気分障害があると診断された人は約71万人としている。一生のうち1度以上かかる率は5~10%ともいわれ、そうであれば比較的多い病気ということになる。
September 13, 2005 03:25 PM
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