健康連載ブログ

2005年09月12日

アンチエイジング医学最前線

【第60回】うつ病や認知症への危険因子

「難聴」

 難聴は治りにくいものと治りやすいものがある。内耳以降の神経が障害されるタイプは今のところ回復が困難だ。進行を食い止める保存療法となる。その意味では早期発見、早期治療が重要になる。

 日本大学医学部付属練馬光が丘病院耳鼻咽喉科科長の生井明浩・同大医学部講師は「進行を抑える薬物治療が主になります。感覚細胞や神経を活性化するビタミン剤やステロイドホルモン剤も使います。ステロイドには内耳の炎症を抑えるとともに血行障害を軽減する効果があります」と説明する。

 ある日、突然に音が聞こえづらくなる突発性難聴(片耳が大部分)では、内耳に高濃度の酸素を送り込む高圧酸素療法が行われることもある。突発性難聴の原因は完全には分かっていないが、ウイルス感染やストレスなどが誘因となって内耳の蝸牛(かぎゅう)が障害されると起こると考えられている。

 「難聴の性質や原因などを正確に診断することが適切な治療に結びつきます。声が聞こえづらいと他人とのコミュニケーションがおっくうになります。不安やストレスも増えて高齢者の場合、うつ病や認知症への危険因子ともなりかねません。本人だけでなく周囲の人の心配りも大切です」と生井講師。

 難聴が進行した際、補聴器の利用も考えられる。現在、約500万人が補聴器を必要とするといわれている。しかし利用率は250万人ほどにとどまっている。値段の問題(高いもので1つ30万円以上)もあるが、聞こえには個人差があり自分に合った補聴器を見つける苦労も結構ある。「基本的に補聴器は音を大きくするだけなので、感音性難聴の人に合わせるのは大変です。補聴器を付けることへの抵抗感もまだまだ強いですね」(生井講師)。

 回復が困難な難聴の場合、生活の質をいかに低下させないかは健康にとって重要になる。音が聞こえないことで孤立したり消極的になることは健康を損ねるきっかけにもなる。生井講師は専門医と相談して補聴器を選択することを勧める。

 ◆難聴遺伝子 米国ワシントン大とイスラエルのテルアビブ大の共同研究では、進行性難聴を引き起こす遺伝子(DFNA37)の存在を報告している。先天的難聴の原因となる遺伝子のすぐ近くにある。一定の年齢(40歳以上が多い)に達すると、この遺伝子が働いて難聴を進めるという。

September 12, 2005 10:12 AM

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