健康連載ブログ

2005年09月09日

アンチエイジング医学最前線

【第57回】若い人は食生活が主な原因

「味覚障害」

 体の細胞の中で新陳代謝が激しいのが、味を感じるセンサーとなっている味蕾(みらい)細胞である。20日ほどで入れ替わる。新旧の交代がうまくいかないと、食べ物の味が分からなくなってくる。ひどい場合は味覚障害と診断される。

 診察には甘味、塩味、酸味、苦味という基本味の感度を5段階で測る濾紙(ろし)ディスク検査が行われる。1が最も味が薄い。若年時は2ぐらいで味が分かるが、高齢者では4でも分からない人が結構いる。年とともに味蕾細胞は衰えるともいえる。

 その味覚障害が増えている。日本口腔(こうくう)・咽頭(いんとう)科学会では、最近の調査から1年間の患者数を約24万人と推定している。95年の調査では約14万人。2倍近く増加している。味覚障害に詳しい生井明浩・日本大学医学部講師は「細胞の新陳代謝に欠かせない亜鉛不足が主な原因になっています。食生活も影響しますから若い人でも味覚障害になります」と説明する。

 薬剤性の味覚障害も多い。高血圧治療薬などに亜鉛などの吸収を阻害する作用があるためだ。また糖尿病や腎障害になると体内への亜鉛吸収が悪くなるなど、病気が原因になっていることもある。「食生活でいえば加工食品の影響も無視できません。舌触りを良くするため加えられるフィチン酸やポリリン酸は亜鉛などミネラル分の吸収をブロックする作用があります」と生井講師は言う。

 生井講師は日大医学部付属練馬光が丘病院で味覚障害の治療にもあたっているが、若い人の場合は食生活が原因になっていることが多い、とのことだ。「味覚障害にもいくつかの種類がありますが、濃い味でないと反応しにくくなるのは共通しています。塩分や糖分の摂取が多くなれば、高血圧や糖尿病にもつながります。生活習慣病を促進する面も考えるべきでしょう」と生井講師は指摘する。

 第5の味といわれる旨味(うまみ)を特に感じているのが日本人。味に繊細でいることは、生活習慣病予防にもなる。

 ◆味覚障害の種類 味覚減退(味が分かりづらい)、味覚消失(味がしなくなる)、解離性味覚障害(特定の味だけ感じない)、異味症(本来と違った味を感じる)、悪味症(何を食べても嫌な味を感じる)、自発性異常味覚(口の中に何もないのに味を感じる)などがある。

September 9, 2005 09:10 AM

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