2005年09月08日
アンチエイジング医学最前線
【第56回】危険因子多い日本人
「糖尿病」
糖尿病は血液中のブドウ糖量が多くなる病気である。量が増えると、たんぱく質と結合しやすくなり、糖化されたたんぱく質は血管壁を傷つけ、動脈硬化、網膜症、腎症、神経障害などを起こす。自覚症状もなく進行するケースが多い。
糖尿病の専門医で日本抗加齢医学会の評議員を務める上芝元・東邦大学医学部講師は「高血糖状態では体内の酸化ストレスも促進されます。糖尿病は万病の元にもなり得る存在です」と言う。
上芝講師は6月の日本抗加齢医学会総会で「2型糖尿病における酸化ストレスマーカーとDHEAの関連について」と題した研究発表を行っている。副腎から分泌されるDHEA(ホルモン)は抗酸化作用があるが、2型糖尿病患者を対象に調べたものだ。
「血糖コントロールが悪い場合はDHEAが低下しています。また細胞の酸化変性の度合いの指標となっている物質も増加していました」と上芝講師。糖尿病患者ではビタミンB、C、Eの血中濃度がかなり低下することも知られている。
酸化ストレスは老化の大きな原因である。フリーラジカル(活性酸素)は遺伝子異常も起こす。つい最近、糖尿病患者や血糖値の高い人は、がん発症とがんによる死亡率が高いとの共同研究(米国のジョンズ・ホプキンズ大と韓国の延世大)が発表されて話題になった。特に膵(すい)臓がんとの関連性が高いという。対象者(韓国人男女120万人以上)に肥満者が少ないことも注目されている。
「カロリー過多、運動不足、体質、高齢化、ストレスと現代の日本人は糖尿病の危険因子に囲まれています。健診などで早期発見も可能です。糖尿病を予防・改善する生活習慣こそ健康長寿につながる道と考えて欲しいですね」と上芝講師は期待している。
ちなみに予防目的での糖尿病治療薬の使用は今のところ認められていないが、インスリン分泌を早める薬の発症予防効果についての研究も行われている。
◆糖尿病遺伝子 大阪大学医学部の研究では血糖値を下げるインスリンの働きが弱い人は、遺伝子にわずかな違いがあることを報告している。血管を拡張する作用のある一酸化窒素をつくりだす遺伝子に変異があり、合成量が少ないという。インスリンは一酸化窒素の合成酵素の働きを強める作用が分かっている。
September 8, 2005 10:57 AM
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