健康連載ブログ

2005年08月18日

アンチエイジング医学最前線

【第36回】建物は第3の皮膚となるべき

「工学的アプローチ」

 老化の生化学を工学的なアプローチによって研究している浦野四郎・芝浦工業大教授は「寿命はあるにしろ高齢者になっても生き生きと生活できるようにすることがアンチエイジング医学の目指す道でしょう。機能回復や維持のシステムを医工学的に確立するのも大きな仕事と考えています」と言う。

 浦野教授の夢は、神経系の化学を追究し、人工臓器や義肢義足に神経を導入することだという。免疫拒否の問題がある人工臓器、動かす感覚を感じることのできない義肢義足に神経を導入できれば、より肉体的精神的に活力をもって生きることが困難でなくなる。

 浦野教授がセンター長を務めるエイジング&ヘルスサイエンスセンターでは、高齢者介助・支援の機器開発やリハビリテーション訓練装置の開発も研究テーマになっている。

 「エイジングに対する工学的アプローチに、老化による退行性変化の機構解明は欠かせません。そこが分かれば防御法も確立可能になるはずです」と浦野教授。

 現在、取り組んでいる認知症の発症要因と予防に関する研究からは、脳神経細胞への抗酸化物質の有用性を解明中だ。

 老化は生理的なものを含め、いろいろなものが関係してくる。環境要因も多い。体内で発生する活性酸素にしても精神的ストレスと無縁ではない。「体内化学的にはホルモン分泌の問題になりますが、そのきっかけは感情です。その人の生きている環境が老化とリンクしているともいえます」と浦野教授。

 アンチエイジング医学では、住まいやオフィス環境を重視し、建築生物学(バウビオロギー)という分野も注目されている。建物は人間という有機体の延長として第3の皮膚になるべき、との立場をとっている。

 「生命科学を工学的な発想からとらえることで医学に貢献できるはず。私自身大いに期待しています」と浦野教授は締めくくる。

 ◆建築生物学 ドイツ語のバウ(建築)、ビオ(生物)、ロギー(学問)を合成した言葉。ドイツを中心に生まれた学問で、人と住環境の関係を考えるもの。人の体や環境に優しい建築資材は何かなどを研究している。アスベスト(石綿)被害が注目されているだけに、バウビオロギーの普及も早そうだ。

August 18, 2005 10:17 AM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/1526