2005年08月17日
アンチエイジング医学最前線
【第35回】酸化障害防ぐことが鍵
「工学的アプローチ」
世界的にも始まったばかりといえる老化の工学的研究をしている浦野四郎・芝浦工業大教授(同大エイジング&ヘルスサイエンスセンター長)は、薬学博士で、日本ビタミン学会や日本過酸化脂質フリーラジカル学会にも所属し、酸化障害に関しては専門家である。
現在、応用化学科生物学教室では、なぜ老化するのか? どうやって防いだらいいのか? を研究のメーンテーマにしている。「ラット実験の段階ですが抗酸化物質であるビタミンEの投与が脳の酸化障害を改善する効果を示しています。脳にたまったベータアミロイドを除去する効果は認められませんでしたが、予防する効果は期待できます」と言う。
ビタミンEは人体における抗酸化作用の科学的根拠が実証されているビタミン。細胞膜や微小器官を包む膜を含めて生体膜というが「ビタミンEは生体膜の油に溶けて存在し、膜を酸化から守っています。ほとんどの臓器にビタミンEは含まれます」と浦野教授。体内組織のビタミンE濃度(組織1グラムあたり)を調べた研究では、脂肪組織、副腎、脳下垂体などが高値を示している。
ビタミンは補酵素としていろいろな働きをしているが、ビタミンEの場合、副腎や脳下垂体などホルモンを分泌する器官に多く含まれる。細胞の受容体(司令を受け取るアンテナ)の膜を安定させる結果、ホルモン分泌の調整作用をする存在として注目されている。
「ストレスホルモンといわれるコルチゾルは脳の海馬部分を障害します。海馬にはコルチゾルの受容体があります。ラット実験ではビタミンEを多量に投与すると、コルチゾルのホルモン分泌が正常に戻ることが分かりました」と浦野教授は、脳の病的老化を抑制するものとしてビタミンEに期待をかけている。
脳細胞は抗酸化酵素が少ないことでも知られる。一方で脳細胞は正常に機能するのに必要以上の数の細胞を持っている。酸化障害を予測して余分な細胞を持っているようにもみえる。「酸化障害をいかに防ぐかがアンチエイジングのカギになることは間違いないでしょう」と浦野教授は確信している。
◆ビタミンE論争 「ビタミンEの大量投与は死亡率を高める」との研究発表が米国であった。その投与量の基準が米国のビタミンEの1日許容量より下だったことが、サプリメント大国のアメリカ人に衝撃を与えた。ただ研究そのものが世界で行われた臨床試験結果を分析したもので、参考にした報告論文の選択の問題もあり現在も論争が続いている。
August 17, 2005 10:35 AM
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