健康連載ブログ

2005年08月15日

アンチエイジング医学最前線

【第33回】工学的アプローチ研究

「工学的アプローチ」

 アンチエイジングは単に医学からだけでなく、いろいろな分野で研究対象となっている。芝浦工業大エイジング&ヘルスサイエンスセンターは<1>老化による退行性変化の機構解明と防御法の確立<2>高齢者介護、支援の機器開発<3>画像診断処理機器の開発<4>リハビリテーション訓練措置の開発を主な研究テーマに活動している。

 同センターのセンター長を務める浦野四郎教授(応用化学科生物化学教室)は「日本は世界一の長寿国になりましたが、肉体的精神的にも活力を持ち、健康で長生きする環境になっているとは言い難い。これを可能にするには工学的発想が大きな力になると思います」と話す。

 浦野教授は長らく東京都老人総合研究所で研究生活を送り、老化研究が専門分野。「生命現象はすべて生体内の化学反応によって行われています。この化学反応のメカニズムを明らかにして医学への応用を目指しています」。

 浦野教授の工学的アプローチは、医学界でも注目される成果を生み出している。若いラットに高濃度酸素を吸わせ、アルツハイマー病と同じ状況をつくることに世界で初めて成功したのだ。

 アルツハイマー病になるメカニズムは今のところ完全には解明されていないが、「脳神経系の老化原因の1つが酸化的ストレスにより発生した活性酸素の酸化障害であることを裏づける実験結果になったと思います」と浦野教授は説明する。

 アンチエイジング医学にとってアルツハイマー病に代表される認知症への対応は大きなテーマ。発生のメカニズムが分かれば、治療・予防への道も見えてくる。

 「老化の生化学を工学的アプローチによって研究する取り組みは世界的にも始まったばかりです。実験結果などを踏まえ、認知症への予防策にも道筋が見えてきたと考えています」(浦野教授)。

 詳しくは次回で。

 ◆アルツハイマー病 20世紀の初めに発見したドイツのアルツハイマー博士にちなんで名づけられた。脳血管性のものとともに認知症の2大原因。米国の年齢別増加率の調査では65歳では5%程度だが、75歳を過ぎると20%以上に跳ね上がっている。比較的若い時期に発症する遺伝的(家族性)アルツハイマー病があることも分かっている。

August 15, 2005 09:45 AM

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