健康連載ブログ

2005年08月12日

アンチエイジング医学最前線

【第30回】紫外線が皮膚がんに影響

「光老化」

 紫外線の影響でやはり気になるのが皮膚がんとの関係だ。がんは遺伝子が傷つくことがきっかけになる。がん細胞では異常増殖を抑制するがん抑制遺伝子に変異が生じていることが明らかになっている。

 日本抗加齢医学会の理事を務め、紫外線研究で知られる市橋正光・神戸大学医学部名誉教授は「遺伝子が傷つくと修復作用が働きますが、時には元のDNA配列と違う形で修復される場合があります。紫外線によって生じた独特の遺伝子の傷は、間違って治されて変異を起こしている部分と一致することが分かっています」と説明する。

 神戸大学医学部皮膚科は兵庫県加西市の協力のもと皮膚がん検診を実施している。その中で日光角化症(カサカサした赤い発疹が特徴)と呼ばれる皮膚がん1歩手前の前がん症について調査(92~01年)している。人口10万人に対し加西市では118・9人が日光角化症だったが、沖縄(伊江村)では約4・6倍の551・4人という結果になった。「紫外線を浴びる量が多いと皮膚がんを起こす危険性も高いといえます。メラニン色素が少ない色白の人も日光角化症になる率が高い」と市橋名誉教授は言う。

 皮膚がんは、どの細胞から発生するかによって特徴が異なっている。顔にできることの多い基底細胞がんは皮膚がんで最も多いタイプ。表皮の角化細胞が、がん化する有棘(ゆうきょく)細胞がんは皮膚がんの中でも紫外線の影響を受けて生じることが最も多い。日光の当たる顔や手の甲にできやすい。「基底細胞がん、有棘細胞がんはほとんど転移しません。もちろん治療は必要です。手術のほか放射線・化学・凍結療法などが行われています」(市橋名誉教授)。

 皮膚がんは近年、増えているがんの1つ。主な理由は高齢化の進行と過去の日光崇拝の影響もある。「日本で紫外線量が増えたというデータはありません。やはり老化による免疫力をはじめ、DNA修復能の衰えなどが、皮膚がんを増やしているその他の理由でしょう」と市橋名誉教授。

 ファッションの変化、つまり、昔と比べ肌を露出する服装が多くなったことも紫外線の健康影響に関係しているといわれる。

 ◆メラノーマ(悪性黒色腫) 表皮に存在するメラノサイト(色素細胞)が、がん化したもの。全身に転移しやすく悪性度が高いが、足の裏やつめの下に生じやすく、紫外線が主原因ではない。背中やスネ、腕にもできる。

August 12, 2005 11:35 AM

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