2005年08月11日
アンチエイジング医学最前線
【第29回】紫外線が光老化を促進
「光老化」
夏、真っ盛り。小麦色に日焼けした姿はいかにも健康的にみえる。しかし、日焼けを起こす紫外線の影響は思う以上に大きい。紫外線研究の第一人者である市橋正光・神戸大学医学部名誉教授は「近年、急速に進歩した分子生物学の力で紫外線がなぜ健康に悪いのかが細胞や遺伝子レベルで分かってきました」と言う。
太陽の光に含まれる紫外線は波長の違いからA、B、Cの3種類に分けられている。波長が短い紫外線ほどエネルギー量が多く、人体への影響が大きい。波長の最も短いCはオゾン層で吸収され、ほとんど地表には達しないが、エベレストの頂上くらい高くなるとCも届く。最近は環境汚染によるオゾン層の破壊で、紫外線Cの影響も心配されている。
皮膚のシミやシワが紫外線の影響であることは、知られるようになってきた。光老化と呼ばれ、個人差はあるが、20歳過ぎから光老化は皮膚に表れ始める。この光老化に大きくかかわるのが紫外線A。「表皮の下にある真皮にまで届き、コラーゲンやエラスチンを変性させ、皮膚の老化を促進します。細胞内外で吸収される際、活性酸素を発生させるので遺伝子DNAも傷つけます」と市橋名誉教授は説明する。
紫外線Bは直接、遺伝子DNAに吸収され、皮膚がんの原因となる。真皮には届かないが、表皮の90%を占める角化細胞に作用し、メラニンの産生に関係する生理活性物質(サイトカイン)を過剰に作り出す。メラニンの受け渡しが多い部分がシミとなることが分かっている。紫外線Bも光老化の犯人の1人なのだ。
また皮膚は病気や異物に抵抗する免疫機能の重要な役割を担っている。表皮細胞内に存在するランゲルハンス細胞と呼ばれる細胞は、外から侵入した異物を捕らえ、リンパ節にあるリンパ球まで運ぶ。その結果、リンパ球の免疫反応が起こるのである。「ランゲルハンス細胞は紫外線に大変感受性が高いのです。日焼け後は10日間ほど働きが弱まります。つまり紫外線は免疫力を低下させる作用があるということです」(市橋名誉教授)。
疲れがたまると口の周りにツブツブが出る。口唇ヘルペスと呼ばれるが、体の抵抗力が落ちると表れる。日焼けをした後、この口唇ヘルペスになる人がいる。紫外線が免疫力を弱めた結果なのである。アンチエイジングにとって紫外線対策は重要だ。
◆メラニン 紫外線に反応して合成される。表皮細胞の核の上に帽子のように乗り、紫外線の影響を防いでいる。色素細胞がつくり出し皮膚の色を決める。黒いユーメラニンと黄~赤色のフェオメラニンの2種類あり、有色人種はユーメラニンが多い。抗酸化作用もある。
August 11, 2005 10:02 AM
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