2005年07月20日
アンチエイジング医学最前線
【第9回】細胞酸化させ病気引き起こす
「フリーラジカル」
アンチエイジング(抗加齢)医学には、いくつかのキーワードがある。その中で注目度が高いのがフリーラジカルである。厳密な定義はあるが、一般的には酸化力の強い物質の総称として使われている。おなじみになっている活性酸素もフリーラジカルの仲間だ。
国際フリーラジカル学会の会長を務める吉川敏一・京都府立医科大教授(生体機能制御学、内科学)は「フリーラジカルは人の細胞も酸化させ、その働きを弱めます。酸化ストレスと呼んでいますが、老化の原因とも考えられています。近年の研究で病気との関連が明らかになっています」と話す。
フリーラジカルが関与する病気は多い。糖尿病は高血糖状態をもたらすが、この際、正常時では起こらないブドウ糖とたんぱく質がくっつく現象が起こることが分かってきた。この過程で大量のフリーラジカルが発生する。目の毛細血管部分なら網膜症、腎臓なら腎症の危険性が増すことになる。
糖尿病性網膜症は失明、同腎症は透析を余儀なくされる原因のそれぞれ1位になっている。
体内のフリーラジカルは、さまざまな化学反応の過程で生まれ、分かっているものだけで数千種類ある。体内の正常な化学反応の触媒となる酵素もフリーラジカルの標的となる。
また糖・脂質・アミノ酸が酸化ストレスによって変化した物質(低分子カルボニル)は、たんぱく質と反応しやすく障害を引き起こす。核酸(遺伝子)が酸化変性すれば、がんの引き金ともなる。
「フリーラジカルは病気を起こす実行部隊といえる存在です。健康長寿を実現するにはフリーラジカルの攻撃をいかに防ぐかがポイントになります。アンチエイジング医学に最も期待される部分といえるでしょう」と吉川教授。
すべての病気にかかわるといえるフリーラジカルだが、体にはフリーラジカルから守る機能が備わっている。それは次回で。
【ジャーナリスト 小野隆司】
◆フリーラジカル 化学分野の専門用語で「対(ペア)になっていない不対電子をもっている原子や分子」のこと。安定するため、他から電子を奪う。奪われた物質が酸化された状態になる。体内ではスーパーオキシド・ラジカル、ヒドロキシル・ラジカルなど酸素由来のフリーラジカル(活性酸素)が多く発生する。
July 20, 2005 10:53 AM
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