2005年07月13日
アンチエイジング医学最前線
【第2回】副作用ないことが柱
今なぜアンチエイジング医学なのか
エイジング(加齢、老化)の過程をできるだけ遅らせ、老化によって表れるさまざまな症状にあらゆる手立てを講じるのが、アンチエイジング医学である。そのためには生活療法(食事療法、運動療法など)を含めた治療法を提案することが必要になってくる。
日本抗加齢医学会副理事長の吉川敏一・京都府立医科大教授は「これまでの医学がほとんど踏み込もうとしなかった領域もアンチエイジング医学には必要になってきます。私は副作用がないこともアンチエイジング医学の重要な柱であると考えています」と言う。
病気を治すことを主眼とする医療では、副作用の問題は避けられない。効く薬ほど副作用があることは半ば常識化している。がん治療を例にとれば、手術を行う外科的治療や抗がん剤を使う化学療法、放射線治療も副作用はある。
生命にかかわる病気だけにまず病巣をなくすことが第一だが、「すい臓がんのように大きくなって見つかった場合、手術で切除しても、手術しない場合と比較して生存率や生存期間が同じという種類の病気もあります。仮に寿命が少しばかり延びても人間らしい生活ができなければ、何のための医療か、という根本的な問題にも行き着きます」(吉川教授)。
病気を治すばかりではなく、生活の質(QOL)や健康長寿を目標とするアンチエイジング医学は、治療法についても従来の医学にない発想も可能になる。
最近のがん治療でもアンチエイジング医学の考え方は注目されている。1つの例はドーマンシー療法。休眠療法と訳されているが、体力の衰えや副作用を伴う無理な治療を避け、病巣を現状のまま保ち、がんと共生しようという治療だ。患者のQOLを保つことを目指す治療法といえる。
「当然のことですがドーマンシー療法の選択も科学的根拠(EBM)があることが前提になります。がんはすべて取り除かなくてはいけないという強迫観念を一度考え直すことは、治療を受ける立場からも大きなメリットがあるはずです」と吉川教授は言う。
アンチエイジング医学はあらためて健康観を問いかけている。
【ジャーナリスト 小野隆司】
◆ドーマンシー療法
がんの増殖には血管新生が必要。血管新生を抑制すると、がんを小さくする力は弱いが、長期間増殖が抑えられることから用いられる治療法。抗がん剤も投与の仕方で血管新生が抑えられることが報告されている。
July 13, 2005 08:55 AM
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