2005年07月26日
アンチエイジング医学最前線
【第14回】アディポネクチン高める
「抗加齢治療」
抗加齢治療の基本はあらゆる角度から身体の状態を把握し、オーダーメード治療を施すこと。健康寿命ドックを開設し、900例以上の治療をしている久保明・高輪メディカルクリニック院長は「最新の医学研究を治療に生かすのもアンチエイジング医学の立場だと思っています」と言う。
久保院長が最近、特に注目している物質がある。脂肪細胞から分泌されるアディポネクチンと呼ばれるものだ。標準的な体格の人の血液中に多く存在し、内臓脂肪が増加すると反対に減少するサイトカイン(生理活性物質)の1種である。
脂肪細胞は単に脂肪を蓄積するだけでなく、いろいろな物質を産生している分泌器官であることが近年、分かってきた。直接、血管の内膜を厚くして動脈硬化をひき起こすサイトカインも分泌している。
「アディポネクチンは、血管に入り込んで動脈硬化を起こす炎症など、さまざまな細胞現象を抑える働きがあることが分かってきました。健康寿命ドックでも検査していますが、年齢より男女差の方が大きいのです。男性より女性の方が長生きする理由の1つかもしれません」(久保院長)。
アディポネクチンは糖尿病とのかかわりも確認されている。糖尿病になるとアディポネクチンの血中濃度が下がり、アディポネクチンの濃度が上がると血糖値を下げるインシュリン感受性が高まるのである。
糖尿病・内分泌専門医でもある久保院長は「アディポネクチンの濃度を維持する、あるいは高める方法があれば抗加齢治療の大きな力になります」と言う。米国での報告には炭水化物(糖質)の取り過ぎは、アディポネクチンの減少につながる、というものがある。
またラット実験では母乳などに含まれる中鎖脂肪酸が血中アディポネクチン濃度を増加させる働きがある、との研究報告が出ている。「現在、きちんと検証できるのは肥満によってアディポネクチンが減るということ。肥満解消および予防が選択肢になりますね。特に内臓脂肪を減らすことが大事です」と久保院長。
肥満は摂取エネルギーが消費エネルギーを上回ると起こるが、原因を探ると事情はさまざま。ストレスが過食につながる例も多い。総合的な治療に向かざるを得ないのも抗加齢医療である。
【ジャーナリスト 小野隆司】
◆筋肉とアディポネクチン 筋肉にもアディポネクチンと反応する受容体がある。筋肉がエネルギーを作るため糖分を取り込んだり、脂肪を燃やす働きのあるたんぱく質(AMPK)を活性化するという報告が米国科学誌に掲載されたことがある。
July 26, 2005 09:53 AM
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