2008年05月01日

お忍びレストラン「支店」と税金

■ 交際を認めないタレントがいたら容赦なく質問をぶつけるのが、芸能レポーター根性だとすれば、この人の右に出る者はいなかった。

■ 須藤甚一郎さんだ。

■ 視聴者も、その直裁すぎる質問には、ハラハラはしてもさらにタレントに食い下がってくれることを期待していたところはある。なにしろ「(セックスを)やったんですか、やってないんですか!」と本人たちに迫ったのだから・・・。

■ そして今、須藤さんの追及の場は、華やかな芸能界やワイドショーから場所を変えて、東京・目黒区議会だ。須藤区議が見逃さなかったターゲットは何か――目黒区自由が丘でお会いして聞いてみた。

■ 東京・渋谷の閑静な住宅地、松涛(しょうとう)に、フレンチレストラン「シェ松尾」がある。グルメ雑誌でも有名であり、雅子妃がご成婚5日前に訪れたことでも知られているお忍び・御用達レストランだ。この「支店」の一つがちょっと変った場所、東京都立大学跡地に作られた目黒区の複合施設「めぐろ区民キャンパス」内にある。ずいぶん区民に取り入ったものだ。ここがオープンしたのは5年半前。須藤さんは、「シェ松尾」支店を区議会で問題にした。

sudo1.JPG


――記者から芸能レポーターまで約30年間で培われた嗅覚が生かされてますね。

須藤さん 用事でたまたま区民キャンパスを訪れたのだけど、「シェ松尾」の支店で改装工事をやっていた。で、金の動く時は常にあやしい、って思っているから、早速3月25日の定例区議会の予算特別委員会で質問してみたの。「あの工事はお店のお金でやりました」という返答ならそれだけのことだったけど、そうではなかった。

――「シェ松尾」の支店の問題がなぜ予算の特別委員会で質疑になるのですか。

須藤さん 「シェ松尾」が入っているのは、目黒区では「目黒キャンパス」という複合施設。複合施設の中に、目黒の中央図書館があったり、体育館、成人式をやったりするパーシモンホール(1200客席)などがあって、これは教育委員会の縄張りに当たる。で、教育費の項目で質問をしてみた。工事をやっていたけど、何の工事なのか、区は工事費を出したのか、出さないのか、契約上はどうなっているのか・・・ということから聞いていったら、目黒区が支出したとわかったわけね。

――目黒区が一企業のために公金を使ってその改修工事をするとは、随分おかしい話ですね。須藤さんの追及に区側はどんな風に答えたのですか。

須藤さん 担当課長は資料もなくアウトラインしか説明できなくて、シドロモドロだったけど。教育長は物凄い形相になって、答弁拒否のダンマリを決め込んでしまった。翌日の議会で担当課長が再度答弁したのは、次のようなことだった。


■ 「シェ松尾」から壁の汚れなどについて、前から改修をしてくれと言われていた。常連客から本部にクレームがあったという。平成18年11月に「シェ松尾」と区が話し合いをした。先方の言い分は、売上げが減り、経営改善したいということだった。壁の汚れ、間仕切りの変更の改修工事をすることになり、19年予算に計上し、去る2月25日から3月6日まで工事を行った。区が払った工事費は447万円+消費税である・・・というのが担当課長の説明だった。ちなみに、シェ松尾は目黒区に月額、家賃として39万円、物品使用料10万円で、合計49万円支払っている。今回の改修工事に区が支払ったのは、月額支払い分の9ヶ月分に相当する。


――「シェ松尾」クラスのフレンチレストランがなぜまた区の施設に来るのでしょうか? 昼間っからこのメニューB(4000円)を食べるのもリッチ過ぎるって、思いますよね。

須藤さん 「シェ松尾」は松涛に立派にある。区民のためというのなら、マクドナルドなんかの方が身近に感じられるはずだと思う。超豪華なレストランみたいなもん、なんで入れたんだ、という意見があって。区側の言い分では、平成18年の11月に「シェ松尾」の方から、壁が汚れたとか、常連客から「シェ松尾」の本部に苦情が入ったというけど、常連客が言うはずもない。

――フレンチレストランを入れたのは、よくあるように、公務員が「フレンチレストランがあればいいな」と思って、そんな単純なことで決まっちゃうというのってありますよね。「シェ松尾」を区民キャンパスに入れるというところから何かこだわり過ぎだなあ、って。星の数ほど都内にレストランがあって、なぜ「シェ松尾」なのか。このあたりきちんと区からの説明が欲しいですね。ところでテナントとの契約はどのような形になっていますか。

須藤さん 「随意契約」で、目黒区は選定委員会を設置。でも選定といってもそんなもの、部内でやるからね。区の説明では10何社来たと言っていたけど、最終的にはシェ松尾、和食他1社で、選定した時の資料を出せと要求したら、応募した業者の資料も出さないわけよ。

――改修工事は契約が根拠じゃないんですか。平成18年11月の協議の結果、「シェ松尾」側の要求を区は全部呑んでいることになりますが。

須藤さん 故障については区側が支払う規定はあるようだけど、今回は故障でもなんでもない。さらに詳しく調査しているんですが、こうした事件は事前にチェックできなくってね。平成18年11月というのは、平成19年度の予算を固める段階で、目黒区の場合は年明けに予算原案というのを組んで、議会側に説明するんだけど、「シェ松尾」のケースのような細かいものは入っていないからね。骨格、おおまかなものが提出され、議会が部分的に修正を要求する権限はない。まるごと出てきて賛成するか反対するかを議決して、議決しなければ、予算は執行できないことになっている。議会が議決機関、区が執行機関というわけね。

――「シェ松尾」側は、内装を区民サービスの一環だとして、公共性を匂わせていますし、区側は、例によって「この支払いに公共性がある」と弁明しているのでしょうね。

須藤さん そんなの何の公共性なの、と思うよ。支払う理由や必然性なんか立たないもの。


■ 須藤さんの主張や筋の通し方をお聞きしていると、私も正しいと思うが、仮にこれを行政訴訟にもっていったとしても、勝ち目がないのでは、と懸念もしてしまう。行政訴訟では、とにかく名目が立てば、金の使い方については問わないような、暗黙の了解的なところがあるからだ。いつものことながら、グレーゾーンでの戦いは九分九厘、行政側が勝っている。


――ところで、目黒区議会の中で須藤さんの政敵はいますか。

須藤さん 無所属4人で会派を組んでいる以外、敵は全部だよ。共産党とは共闘を組んだことはないが、議決する案件については足並みが揃うことはある。共闘すると無所属の意味がないからね。無所属でバラバラの状態で「目黒区独歩の会」の仲間がいる。拘束なき会派とボクは考えている。

(次号に続く)


関連記事
「オンブズパン」の後藤さんにマジかよ?
石原都知事のヤリスギ


May 1, 2008 06:27 PM

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/17087


コメント

国土交通省などの天下り先もすべて随意契約ですし独占禁止法違反です。

内装工事は借りてる契約者がやるもので区民の税金でやるものではありませんし、
目黒区民以外の人でも食事を出来るのに「区民サービスの一環」はおかしいです。

目黒区が税金からお金を出し「区民サービスの一環」なら
身分証明書で確認して目黒区に住んでいる人しか「シェ松尾」を、
利用出来ないようにしないといけません。

日本全国の国、自治体の箱物事業は本当に地元に住んでいる人達に有効利用されていないのが現実なのにね。

投稿者 区民オブズマン : 2008年05月01日 21:31

コメントしてください



保存しますか?