2008年03月17日

子供にもわかるイノシン酸!

子供たちの嬌声が聞こえたので思わず振り返った。

ある昼下がり、スーパーの店内。
ウドンの宣伝販売で、女の子と男の子の姉弟が試食をしていた。

発砲スチロールのお椀に、温ウドンを入れて、
客に試食させているスタイルだった。

味は普通のしょうゆ味のようだ。

男の子は、4歳ぐらいで、女の子は1歳ほど上。

販売員の男性からお椀をもらって、
つるつると食べた子供二人の嬌声が店内に響いている。

女の子「ママー、すごく美味しいよおー!」
近づいてくる30代のママとパパに向かって叫んでいる。

男の子「ボクもおいちいー!」

ふーふー、つーつー、つーつー。

男の子「ボク、もっと食べられるよー」
販売員「それじゃ、ボク、もう一杯たべるーう? 美味しいよね」
男の子「うん、食べるー、食べるー!」

たぶん、男の子の喜びを見て、販売員は、
(これで二パックは売れるぞ)と胸算用をしたに違いない。

カートを押して、ケータイを手にしたママとパパが近づいてきた。

すかさず、
販売員「あ、お母さんも一杯いかがですか。コシがあって美味しいですよ」
女の子「ママ、食べてごらん。絶対に美味しいから!」

一口食べて、
ママ「あ~、かつをのいいおダシが出てますねー」

販売員「お父さんもいかがですか」

すると、パパは、奇妙な返事をした。

   「私、間に合ってますから」

「間に合ってます」という日本語が意味することを
私はちょっと量りかねた。

kezuri.jpg

かつを節のだし汁のうまみと言えば、
1913年、小玉新太郎が発見したイノシン酸だ。

子供たちはイノシン酸のそのうまみを見つけたに違いない。
そして、パパはおそらく社員食堂のきつねウドンから
イノシン酸をすでに知っていたのだろう。
(写真:かつをの削り節)

しかし、私はこの姉弟が感激しながらウドンを食べるシーンを見て、
胸のうちで、つい毒づいてしまった。

   ウドンぐらい、家で子供に作ってやれよ。

これが手のこんだフレンチ料理なら、無理なのは当たり前、
ママもいろいろ忙しいだろうけど、
しかし、「素ウドン」だよ。
一からうどん粉をこねろって言っているわけじゃない。
何気ない当たり前の味で、特別な技も必要ないだろう。
半生のウドン玉はスーパーに売っているのに・・・。

こんな光景を見せられれば、
子供たちが日常的にどんな食事を与えられているか、
想像ができるというものだ。

加工品のカップ麺の添加物一杯の塩っ辛い味や
舌触りの悪い麺を普通のウドンだと思って食べてきたに違いない。

子供の姿は正直だ。
ママの食事に対する態度が図らずもこの試食のシーンで垣間見えてしまった。

   ウドンでこんなに感動しちゃって、
   ちょっと不憫(ふびん)に思える。

最近、子供たちにどんな食事を与えてよいのか、
自信がないママたちが増えているという。
中国からの食材やアレルギーなどの問題はあるとしても、
子供に自分が作った「素ウドン」ぐらい体験させてやってほしい、
ケータイメールを打つ暇があるんだからさ。

March 17, 2008 08:40 PM

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コメント

うーん。素うどん如きで喜んでいるという子供に見えますでしょうか…。
私はどこで何を食べてもおいしい物はおいしいと喜べる子であって欲しいと思うので、(親の態度はおいておいて)ほほえましいと思えるのですが。
私も良い年になりましたが、未だにおいしいおだしの素うどんは、一緒に行ってる人相手に「やっぱりうどんはおいしいねー」と笑顔で語りかけますが、『素うどんぐらいでこんなに喜んで…普段質素な生活してるのね…』とか思われてたら切ないです。

投稿者 べ : 2008年03月17日 22:29

写真の通り、蕎麦やうどんのつゆのダシは厚削りに限る。
ついでに返しを作って二週間ほど置いておけば、もう神田の藪蕎麦にも負けないお味。なーんてね!
うまいもんを楽しまないのは人生における大きな損失。
別にお金をかけなくたってよいのに・・・かけそば・素うどんでも幸せになれるのになぁ・・・

パパの返事「私、間に合ってますから」。
社主はそう受け取りましたか?(本当はウソでしょ?)
私は素直に『パパはお腹が減っていないんだな?』と受け取りましたけど。(笑)

投稿者 tkbanker : 2008年03月17日 22:46

いや、そうでもないんですよ。
子供の頃、家に来たお客さんの為にそばを出前で頼んでお客さんと父親が食べ終わって器を下げたら、妹がおいしそうに父親の器から汁を飲んで「おいしいねーー」と言ってるのを見たことがあります。
家で出汁をちゃんととった味と、店屋物や店頭で食べる味はちょっと違うのと場所の雰囲気でしょうね。

この話の母親は「セーフ!」かなぁ。

・・・・・・・

ベビーコメ

ご愛読ありがとうございます。

確かにおっしゃる通り、うまみは単純なものではなく、
ある時は状況であったり、自分の気持ちだったり、
偶然だったりします。

スーパーで出会った一家への私の視線もまた
うまみと同じくそうであったのでしょう。

2008-3-18 18:30

投稿者 ina : 2008年03月18日 02:15

コンビニが24時間開いているのも、一つの原因かと。ここに行けば、手をかけないで食べられるものがいつでも手に入る。なければそれに適応した生活をしなければいけないし、適応できるはずですが。いろいろと考えればすぐに分かることですが、まず、考えていないのでしょうかね。

投稿者 ぷん : 2008年03月18日 03:52

あなたが食べているものを言いなさい。あなたがどのような人か言いあてましょう。これって妄言?

今の親が食べてきた物は、たとえ高価であってもすでに貧しいものだったにちがいない。だからこそ、それを自覚して努力や工夫でもしない限りは、利便性追求の今子供たちに与える食事は昔よりもっともっと貧しくなる。ハンバーガーショップのCMは昔は子供幼児向けだったのが、今は若者向けに代わってきた。親が賢くなって子供から遠ざけた結果なのか、すでに食べる習慣がついた若者世代をターゲットにした商法なのか分からないが。

ご飯を作ることは単なる作業ではない。何十年たっても下宿のオバサンに感謝を忘れない友人を見ているとそれを強く感じる。「お袋の味」が消えて「袋入りの味」全盛だからこそ、おかあさん、子供にご飯作ってあげなよ。

肥満や飲酒喫煙が緩慢な自殺なら、作ろうと思えば作れるのに子供にご飯を作らないのは緩慢な子殺しだろうね。そういう子がいつかぶちキレて親を殺す。殺すなら他人でなくて親までにしておいてくれ。

投稿者 jp妄言 : 2008年03月18日 05:08

社主様のお考えも理解できるのですが、ちょっと極論かなあと感じました。

私はその場を見ていないので断言は出来ませんが、「美味しい」 と言う表現は、試食という 「雰囲気」 も加味されたものではなかったでしょうか?

私自身は試食が苦手(買うつもりがない場合)なのですが、子供は試食が大好きで、たしなめるのが大変です。子供に聞いたところ、試食って何か 「つまみ食い」 みたいで美味しく感じるようですよ。

ちなみに家では、私も家内も料理が趣味で手作り料理メインです。ん?手作りでも味付けが不味いのかなあ・・・。ちょっと心配になってきた。(苦笑)

投稿者 かず : 2008年03月18日 09:29

息子がおります。
子供は思ったより大変な存在です。

そこに「子供がいる」ということにはじめ違和感を覚え、その存在を受け入れるのは困難です。

「その子が頼れるのは自分しかいない」ことをしっかり腹に落とすのと、
「子供から自分はどう見えるか」を想像しないといけないです。
想像力が欠けているのか、腹が据わっていないのか。。。

でも、その二つさえできれば、子供は驚くほど親のいうことを聞くような気がします。

・・・・・・・

ベビーコメ

ご愛読ありがとうございます。

理想かもわかりませんが親としての最終目的は、
次のようなことでしょうか。

子供が親離れする前にしっかり親と密関係にして
子供に充足感を与え親を頼るようにしておく。そうすると
実際親離れした後に、その頼った充足感気持が残っており、
今度は親に充足感を与えてあげたい気持ちが生まれ大事にしてくれる・・・のではありませんか。

例えば赤ちゃんの時に充分おっぱいを与えられる、
触れている、のと おっぱいを早くに取り上げられてしまう
のでは自ずと精神的差が、生まれるのは容易に想像が
つくと思います。

欧米を考えて見ますと、幼児期は親と密関係ですが、
ある年齢に達すると見事に一人歩きが出来素立って、
行くけど、親とも良い関係は残る。

船は航海に出ていっても戻る場所は必要なのです。

2008-3-18 18:30

投稿者 shion : 2008年03月18日 13:39


>ウドンでこんなに感動しちゃって、
>ちょっと不憫(ふびん)に思える。
言い過ぎでは無いでしょうか?
筆者はよっぽど美味しいものを食べて育ってきたのでしょう。
私も幼少時代は、親の方針で自然食を積極的に取らされていましたが、たまにスーパーで食べる試食品やファーストフードのハンバーガーがえらく美味しく感じたものでした。
子供の舌は敏感であると同時に無知です。
大量のイノシン酸との出会いを素直に楽しんでいたのではないでしょうか?

・・・・・・・

ベビーコメ

ご愛読ありがとうございます。

>筆者はよっぽど美味しいものを食べて育ってきたのでしょう。

私の母の料理は、決してほめられたレベルではありませんでした。
祖母はおいしかった。
こまめに手間を厭わない器用な女性でしたから
祖母が漬け込んだ梅しそ生姜は日本ーですね。

その両極端な姿を見て育ちましたから、
この祖母にしてなぜこの母なのか、まことに不思議でした。

おそらく、祖母にはかないっこないと思っていたのでしょうね。

2008-3-18 18:30

投稿者 山 : 2008年03月18日 16:18

小さい子供は食事を選べません。

もっと言えば、子供は親を選べません。

親が選んだもの、作ったもので、子供の体は作られていきます。

その意味で、食事を作る事は本当に大切な事です。

毎日、美味しくて栄養バランスのとれた食事を用意する。
これは本当にお母さんとしては大変な作業です。

でも、自分の作ったごはんやお弁当を食べて、
成長していく子供の姿を見守る事が出来るのは、
お母さんに与えられた、素敵な特権でもあります。

携帯電話のエントリーの時にも感じましたが、
ファーストフードや、スーパーのお惣菜、冷凍食品など、
便利なものが増えるほど、人間の心のゆとりみたいなものが、
どんどんと減っていくような気がします。

この大きな社会の流れに持っていかれない様にしなくてはと、
痛感している今日この頃です。


投稿者 14番目の月 : 2008年03月18日 18:52

同意です
うーん、この母親はヒドすぎますね。
素うどんも作らず、携帯命で、子供にはレトルト食品やインスタント食品なんでしょうね。
子供って結構鋭いですよね。

投稿者 夫名無しですが : 2008年03月18日 22:04

う~ん。難しいところじゃないですか?子供たち、きっとおんなじものを家で食べさせられたとしてもそんなに喜ばないんじゃないかな。やっぱり雰囲気とかかと。

関係ないコメントかもしれませんけど、子供と大人って生物学的に味覚が違う(舌の化学受容体が異なる)から、子供に「いいもの」、「旨いもの」をできるだけ食べさせてあげよう的な食育の姿勢はえてして自己満足に陥ってしまうと思います。

投稿者 じゃっく : 2008年03月19日 00:00

すウドンのツユの味って、日本食の味としては、とてもベーシックな部類に入るはずです。これがとても美味しいとなると、他の日本食でも、ほとんど同じ答えが返ってきそうですね。社主のご指摘は的を得てるのでは?と思います。たしかに、人工調味料が美味しいと感じる、舌の鈍感な人には、さして大差はないのでしょうけど…。子供は残酷なまでに正直です。仮に今回、特別な感想をもたなかったとしたら、家で食べ慣れているのでしょうから、当たり前の反応をしたということになります。普段カップ麺と人工調味料漬けだから起きた反応と見るのが自然です。

・・・・・・・

ベビーコメ

ご愛読ありがとうございます。

素うどんでわかる日本食の原点というわけです。
だから、この味を感動で味わうということは、
ある意味、日常でその原点から離れた食事を
していることになる・・・
という意味で、残念ながらこの母親の姿勢に問題があると、
指摘したかったのです。

おそらくこの原点が家庭の味の基礎と言えるでしょう。
今や、家庭の味より外の食事の方がおいしい、
という流れ自体問題があると思います。

子供には、
「ママのがー番おいしいよ」って言って欲しいですね。

2008-3-19 14:30

投稿者 たいやきやいた : 2008年03月19日 01:05

同じ光景をみても、人の数だけ異なった
感想の数があるのだな、と
あらためて思いました。

人の数だけ異なる数の人生、それにもとづき形成された価値観、
ことの是非は別にして、試食でみた子供たちのうどんを
食べるシーンでの社主さんの感想に、またここでもみなさんの
感想に、いろいろ考えること
ができてよかったです。

ちなみにわたしは値段も関係なく
どこで、何を食べても
おいしいです。おいしさを感じます。
おいしさを見つけます。

なにを食べてもおいしく小さな幸せを感じながら
頂けるのでじょうぶで健康な身体をくれた両親に
感謝しています。

いまでも実家に顔を見せるとき
両親にそのことを感謝します。

おいしいものをたべるときは
そばにいる愛する人に勧めます。

そしてそのひとが食べて、おいしいと共感してくれると
生まれてきた幸せを感じます。

健康な身体、
愛する人、私を思う親友、
しぬまで経済的に不自由ない日々
(贅沢でなく質素なという意味の)

老若男女、うどんも人を幸せにしてくれる
もののひとつです。
         
            (45歳会社員男性)

投稿者 かたな : 2008年03月19日 03:15

今回の社主様の投稿は、ワザとかましてる
んだろうなぁと思って微笑ましく見せて
頂きましたよ(笑

それでも、
>こまめに手間を厭わない器用な女性でしたから
>祖母が漬け込んだ梅しそ生姜は日本ーですね。

ここに尽きますね。
味覚とは原体験です。
前回の投稿の「亀田アメリカ~」も
欧米に醤油味を理解してもらうには、
その原体験が欧米にはない事が問題に
なるだろう事は想像がつきます。

そして、その原体験をさせる事をないがしろに
している、今の日本の「瞬間子捨て」などの
観点から見ると、社主様の意見は一貫している
と言えますよね。

投稿者 5ceγecγ0w : 2008年03月19日 07:49

私の友人(女性)にこの話をフッたところ、美味しいものを理解するには、美味しいものを知っていなければ分からないはず。この子供も、美味しい味を知っているから、不味さが分かったのであって、お母さんの苦手料理に、うどんが含まれていたのでは?と反論されました。そう言われてみれば、そうかもしれない…。でも、うどん屋さんで美味しい料理を食べた可能性もあるし、額面どおり日頃不味いうどんばかり食べているかもしれない。とはいえ、やはり、いちいちお母さんに「美味しい」ことを伝えようとする、その心理を忖度すると、お母さんに試食させた上で、そのうどんを買って欲しかったのではという気がします。お父さんの反応を見ても、裏づけ取れてますし…。どうでも良い話を長々とすいません…。

投稿者 たいやきやいた : 2008年03月20日 21:35

>しかし、私はこの姉弟が感激しながらウドンを食べるシーンを見て、胸のうちで、つい毒づいてしまった。

 ここから下はロクな食べ物を食べさせていないに違いないという、思い込み・決めつけからなる文章ですから、その辺はどうかと思います。証拠不十分で強引。
 だけど、昨今そういう親がとりざされているのは分かります。取り上げたい事は伝わったかと。

投稿者 とおりすがり : 2008年03月23日 18:29

うちの子達もたまにぎょっとするような反応を示すことがあります。 家で手作りでおいしくて体に良いものをと心がけて食べさせていても 妙な化学調味料の入ったものや、ファーストフードをたまに食べる機会があったりすると、すごく喜ぶのでがっかりさせられます。 もしかしたら、このうどんを食べた子供達もちょっと小腹が空いていたときだったのかもしれません。

投稿者 ハンブルグ : 2008年04月15日 09:38

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