2008年03月09日

売国奴のジレンマ

先週土曜日からロードショーされている「アメリカを売った男」。
一食抜いても見てほしい、非常に良質なサスペンス映画だった。

2001年2月18日、FBI捜査官ロバート・ハンセンが、
スパイ容疑で逮捕された。20年以上にもわたって、
ソビエトのKGBにアメリカの国家機密を売り続けていた。

「史上最悪の裏切り者」と呼ばれたハンセンが逮捕されるまでの
2ヶ月間を、実話に基づいて克明に描いたのが、この映画だ。

hassen.JPG

ハンセン役はクリス・クーパー、彼は「ジャー・ヘッド」で
カジンスキー中佐役をしていたが、むろん、
今回のスパイ役は、きっちりはまり役だ。
(写真:映画でのハンドアウト)

スパイを追い詰める若いFBI捜査官をライアン・フィリップが
演じているが、彼は言うまでも無く、クリント・イーストウッドの
「父親たちの星条旗」で「ドク」と呼ばれた兵士役を務めていた。

二重スパイのハンセンは、FBI機密のみならず、CIAや国防総省などの
極秘文書をKGBに売り続け、この中にはアメリカがKGBに送り込んだ
スパイの名前も含まれ、処刑された数は50名を超えるといわれる。

私がこの映画を見ている間中、強く疑問に感じていたのは、

   ハンセンはなぜ国家を裏切ったのか

これだった。

金やダイヤモンドが欲しかった、というけど、
それは本心ではないだろう。

ハンセンは敬虔なクリスチャンであると同時に、
一方で性的にゆがんだ多重人格者という設定だった。

多重人格者ならば、信心深い宗教人の部分を備えていてもいいし、
一方で、国家を裏切るほどの罰当たりな部分があってもいいのだが、
そんな風に認めてしまうのでは、どうにも気持ちがしっくりこなくて、
映画を見た後にちょっと調べてみた。

ハンセンはシカゴに生まれている。
父親は、シカゴの警察官。
父親は、ハンセンの幼年時代から、彼につらく当たり続けたらしい。
一度、理由は不明だけど、ハンセンの運転免許を取れなくしたこともある。

「お前など人生で何も作れないだろう」

という風な言い方をしたとも伝えられる。

少年時代に父親から四六時中、誹謗され続けていたら、
一体、人格形成にどんな影響が与えられるのだろうか。

心の中に大変なキズを作ってきたことは容易に想像できるし、
一方で、ハンセンが宗教に救済を求めたことも想像できる。

それが証拠に、ハンセンが映画の中で口癖のように、
精神的な問題に直面したら、

   「とにかく祈れ」

と、忠告していたのは、それが解決の手段だというより、
自分の中で解決の糸口を探していたら、
もはや宗教しかないことに気づいたのだろう。

同じく映画の中で、ハンセンは、

   ソビエト帝国が崩壊させたのは無神論だ

と語っていた。
たぶんこの発言の裏読みで売国の理由を理解できそうだ。

・・・・・・・

urayomi.JPG

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March 9, 2008 11:44 PM

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コメント

今度、見ます。

投稿者 トスキ : 2008年03月10日 09:55

『少年時代に父親から四六時中、誹謗され続けていたら、一体、人格形成にどんな影響が与えられるのだろうか。』


この一文は重みがあります。
自分はまだ子供がいませんが、家庭教師をしていた時は 〝出来る!〟 〝出来た!〟 を言い聞かせました。  
欠点を直すことにだけ目を向けた親の教育にほとほと嫌気がさしていたので、教える(育てる)立場になった時は自分がやってもらいたかったことをしました。

投稿者 独身男 : 2008年03月10日 15:10

息子が地元野球チームに入り感動的したのは、失敗して日本なら「ドンマイ」と慰めるところを「ナイストライ」と褒めること。結果が伴わなくとも、積極的に頑張っている仲間を心から賞賛する。苦しさを乗り越えて成長することだけではなく、これこそがスポーツ、特にチームスポーツをする意味なんだと感動しました。勝つことにも大きな意味があるが、勝ち負けに拘っていた自分が小さくて恥ずかしくなりました。

子供に駄目駄目と言い続ける人は悪い人というよりは弱い人。実は自分自身への駄目出し。あるいは自分が優秀で子供の凡庸を受け入れられない。もしくは子供の可能性を信じて最高の場所に連れて行こうとする愛の鞭。しかし、殆どはどう対処してよいか分からずに配偶者や社会のせいにして逃げる弱さ。現実を見つめ、良いところを伸ばすが、甘やかしはしない。愛する自分の子供にそれが出来たか?親になれたのか自問しています。

投稿者 夫どっこい : 2008年03月11日 10:12

日本であれば今は小沢党首が適当なキャスティングですかね。

投稿者 五月雨祭 : 2008年03月11日 19:45

「国を売る」という意味を考えたい。

日本に住む私にとって「国」という言葉は、四方を海に囲まれて、同じ言葉を話し、共通の習慣をもって、たいがいのことは意思を通じ合える人たちがあつまっている島々ということである。

ところが、アメリカ合衆国の場合は、地続きでメキシコやカナダがあり、言葉はヒスパニックのみならず、ドイツ語、イタリア語、韓国語、中国語、日本語が飛び交い、習慣なんぞ、隣の人たちが毎日どんな風にすごしているか知ったことではない、という国だろう。

「とにかく祈れ」とは、宗教=哲学の上で共通の言葉を探れ、という意味ではないか、と感じた。それは、彼らにとって「国」を飛び越える価値のあるものなんだろう。

父親の虐待を受けて、「愛」を大事なものとしてとらえるようになった。

その上での結論は、「合衆国」を「ソ連」が壊して、「愛」がもっと大手を振って評価される社会を実現してくれる、と思ったから裏切った、ということなのかもしれない。

映画見ないで、えらそうに語りました。ごめんなさい。


・・・・・・・

ベビーコメ

ご愛読ありがとうございます。

私は「愛」よりも「怨」ではないかと思います。

情報としては、10億ドルの損実といわれるスパイ事件ですが、
個人が「国家」を転覆させることもアリの時代かも。

これは会社にも言えるのですが、対応を間違えて、
個人に会社が追い込まれることも、IT時代なら可能になってきます。
バカな会社はそういうリスクも可能性としてあることを
皆目考えていませんね。

2008-3-12 15:00

投稿者 EJ : 2008年03月11日 22:14

アメリカの人達にとっての信仰心は、
愛国心と同義語のような気がする。

今も戦争を、「神の思し召し」のもとで続行し、
肌の色や言語での差別同様、宗教もそのひとつに・・・。
本来、宗教は人間を幸せに導く為のものであるはずなのに、
宗教の違いが他国への敵意を煽り、沢山の尊い命が失われている。

ハンセンは神に祈る事で、
父親からの虐待の苦痛や恐怖心を、取り除いていた。
ハンセンの信仰心は、愛国心からくるものではなく、
父親からの無償の愛の代わりだったのではないだろうか。

ハンセンの本当に欲しかったものは、神様からの愛でもなく、
愛国心に溢れたFBI捜査官としての地位でもなく、
もちろんお金でもなく、父親の愛情だったと。

「お前など人生で何も作れないだろう」という父親の言葉。
この言葉への反発(父親に振り向いて欲しい気持ち)で、
裏切り者演じ続けていたとしたら、あまりにも悲しい。

投稿者 14番目の月 : 2008年03月12日 19:10

こんにちは。あまり映画には詳しくなく、クリス・クーパーという名前は意識したことありませんが、一目見て見覚えある顔だとわかります。調べれば、『シービスケット』や『ボーン・アイデンティティ』など、いろいろなところで目にしていました。普通そうでいて、影もある感じ、なんとなくスパイもリアルそうですね。

ところで、「実話に基ずいて」は「基づいて」ではないでしょうか。

投稿者 アニリン : 2008年03月13日 10:22

投稿者 五月雨祭 さま
小沢党首ではなく 福田さん安倍さん小泉さんでしょ。
国を丸ごと世界最強(最兇、最恐、最脅、最狂)帝国に
売り渡そうとしてるんだから。 今話題のガソリンだけでも
600億円以上、そこの軍隊に無料で貢いでる。

投稿者 ほんとの売国奴は・・・ : 2008年03月13日 15:45

外国人参政権を推進している小沢党首に勝る売国奴は
いないと思いますが。

投稿者 ほほー : 2008年03月14日 00:22

アメリカは今も昔も2重基準3重基準を持っている
例えば東欧のミサイル防衛(MD配備)の名目は一応、イランの脅威から守る為と答えている
が、そんな事を信じる人も国もいない
要はロシアのミサイルを打ち落とす為な事は明白だ
そしてかってのソ連だった国々にも「自由」の名の下に反露を鼓舞しNATO加盟を後押ししている
NATO加盟した国のロシア系住民に対しての非人道的な扱いには無視をし続けている
東欧が成功したら今度はカフカスだ
今や中央アジアの国には米も基地さえある
誰が見てもロシア包囲網だ

通常兵器では勿論、歯が立たず
結局、ロシアが頼るのはミサイルだけの構図だ
国防費でも較べる方がアホらしい位だ

それが中国では米はかなりの気の使いようだ
もう世界の工場だし巨大なマーケットでもある
チベットの暴動も黙殺に近く、中国国内の人権侵害も年に1回か2回程度、警鐘を鳴らす程度である
どう見てもロシアの方が民主的であるにも関わらず相変わらず批判は1番大きい

何故だろうか?
この映画を見ていないが米がソ連に対しての深謀遠慮を情け容赦なく遂行して来たからだと思えてくる
ソ連は民主的では無かったがそれでもロシア帝国を解体し曲がりなりにも15共和国を建国させた
米の影響でソ連=悪のイメージを世界に植えつけさせた

然し世界の独裁国家と呼ばれる国には見て見ぬふりか支援までしている 

内部で見ていておかしい?と思っての行動ではなかったのかと推察する
当たり前だが
米=正義ではない
確か中国はあれだけ広い国土にも関わらず時差が無い国だが
此れだけでも中央集権的だが批判さえしない(笑)

投稿者 136 : 2008年03月16日 10:29

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