2007年04月20日
フットサル界のチェルシーの役割:上野竜一
どの顔も一様に笑顔、笑顔だった。3月29日に名古屋市内のホテルで行われた祝賀会。今年9月に開幕するフットサルのFリーグに参戦する名古屋オーシャンズ(名古屋市)が、地域チャンピオンリーグ(3月、東京)で日本一となり、日本選手権、東海リーグと併せ3冠を達成したことを祝い、選手、スタッフ、関係者ら約100人が集まった。
昨年4月のチーム発足以来、他チームがうらやむバックアップ態勢を力に、一気に最強軍団へと駆け上がった。スポンサーはジェネリック医薬品メーカー大手の大洋薬品工業(名古屋市)。選手全員が平均推定年俸500~600万円でプロ契約を結び連日、午前午後の2部練習に打ち込める。Fリーグ参加8チーム中、群を抜く厚い待遇だ。
さらなるレベルアップへ戦力補強も着々。サッカーFC琉球でプレーしながらフットサル日本代表にも名を連ねてきたリカルド比嘉ら6選手を新たに加えた。チームは5月末にロシアへの強化遠征も予定。来年2月には選手寮、4月には総工費およそ40億円の巨額を投じて専用アリーナも名古屋港に完成する。
サッカー英プレミアリーグのチェルシーにも似た、他の追随を許さないチーム強化の根底には、アジアそして世界に通用するチームを目指すという理念と「初代Fリーグ王者は義務。ウチがしっかり強さを見せることがフットサル界の活性化に繋がるはず」(櫻井嘉人GM)という信念がある。
チェルシーが積極的に補強を進めたことは、プレミアリーグのレベル向上に繋がっている。アブラモヴィッチ氏がオーナーに就任する前の欧州チャンピオンズリーグの過去4大会で4強入りしたプレミア勢が01~02シーズンのマンチェスター・ユナイテッドだけだったのに対し、就任後の4大会はのべ7チームに増えた。06~07シーズンは4強中、プレミア勢が3チームを占めている。
祝賀会の壇上で大洋薬品工業・新谷重樹代表取締役社長の口からは「将来的に専用アリーナをフットサルの聖地にしたい」という夢プランも飛び出した。高校野球の甲子園やラグビーの花園のように、全国大会を開催し、アリーナをフットサル少年憧れの場所にするという計画だ。
他チームが逆立ちしてもできない、これでもかというくらいの補強がもたらすもの。Fリーグのレベルアップ、フットサルの発展へ「フットサル界のチェルシー」がなすべき役割は大きい。
April 20, 2007 05:51 PM 投稿者:上野竜一
2007年04月04日
旧制度に逆戻り、迷走する競輪界:村上正洋
競輪界が迷走している。
3554人(07年2月1日現在)の競輪選手は実力を示す競走得点によって各級班に分けられている。トップレーサーが集う最上級のS級1班(288人)から、デビューしたばかりのルーキーと引退前のベテランが混在するA級3班までS、A2級5班制だ。かつてはS、A、B3級9班と細かく分けられていたが、02年の制度改正にともない現在の形になった。
旧制度のS級1班は130人。その中でも賞金1億円が懸かる年末のビッグレース、競輪グランプリ(GP)に出場するトッププロ9人は憧れの対象であって、彼らがそろう対戦は日本一を争う年6回の特別競輪(G1)でしか見られなかった。ところが、現在は各競輪場ごとに開催される開設記念競輪(G3)でもGPクラス同士の対戦が珍しくなく、グレードの落ちるS級シリーズ(F1)にも当たり前のように出走する。制度改正の意味合いはS級1班の数を大幅に増やして、低グレードのレースにも上位選手の参加を促すことにあった。そうすればファンの目もF1に向くと考えたのだろう。それまでG1でしか見られなかった上位選手の激突がG3で実現し、ファンの目が肥えたのは事実だ。その反面、G1の商品価値が下がったのも間違いない。2カ月に1度のG1は待ち遠しく思ったものだが、今はそう感じないファンは多いことだろう。
また、もっとも開催数の多い普通競輪もB級廃止によってA級10レースのトーナメントに改められた。それまで最終日にはA級、B級の2つの決勝戦があったが、今はA級1個レースのみ。残り9レースは敗者同士の対戦とあって盛り上がりを欠いている。
来年、新たな動きがある。現状を省みてS級1班の上位にSS級を創設する。その人数を絞って(18人の予定)トッププロの希少性を高める意向だ。参加レースもG1・G2、G3が中心となり、出走本数も減らす予定だとか。何のことはない。SS級と名前は違えど結局は旧制度へ逆戻りするだけだ。現状を憂えば改定そのものには記者も賛成なのだが、あまりにもお粗末ではなかろうか。車券を買ったこともないお役人が制度をかき回す姿は、プロ野球のドラフト制度を巡る混乱にも似ている。本当に迷惑しているのはファン及び選手なのだ。(競輪担当)
April 4, 2007 01:55 PM 投稿者:村上正洋
