2007年01月28日

「夢の3連単」がもたらしたもの:村上正洋

競馬や競輪のファンならご存知だろうが、記者の担当している競輪をはじめ公営競技には単勝式、連勝式などいろいろな賭け式がある。その中でも1番の破壊力を持つのは入着順に3着者まで当てる3連単だろう。これまでの最高配当は中央競馬の1846万9120円を筆頭に競輪でも500万円近いビッグ配当が飛び出している。100円玉1個がこれだけになればたまらない喜びだろう。その代わり、組み合わせが多く中央競馬の18頭立てのレースなら4896通り、9車立ての競輪でも504通りにもなる。高配当のリスクとして的中の難しさが付いて回る。

  全ジャンルの競技で3連単の購買比率がトップということはそれだけファンの心をつかんでいる証拠。しかし、売り上げ面を考えるとこの流れがいいとは言えない。2連単、2連複は低配当でも的中率は高い。車券(馬券)が当たればファンは次のレースにも資金を投入できる。一方、3連単で数十万円規模の配当を手にしたらどうだろう。記者ならそのまま帰途に就く(小さい人間ですみません)。いや、記者ならずとも、そんなファンは多いのではなかろうか。必然的に資金の還流が少なくなり、売り上げ低下につながる。

 競輪の3連単は01年の前橋競輪場でスタートした。先行導入した場には未導入の競輪場を嫌った近隣のファンも殺到した。その効果を目の当たりにした施行者は続々と3連単導入を進めた。その中で売り上げも少なく、3連単導入が遅れたある競輪場関係者が「長い目で見れば、3連単は売り上げ増のためにプラスとはならない」と言っていた顔が目に浮かぶ。現在の流れを見ると、この担当氏の危惧(きぐ)していた通りになっている。1人あたり車券購入額も3連単導入前に比べると約60%にまで落ち込んでいる。もちろん場外発売の増加や景気動向にも売り上げは左右されるが、なかなか当たらない3連単の影響は小さくないはず。

 競輪では朝の1レースから3連単を発売しているが、これを中央競馬のように後半の数レースに絞るという動きがある。前半戦で手堅く資金を回してもらおうというプランだ。しかし、ファンは3連単の高配当に慣れてしまっており、物足りなさを感じるだろう。「夢の3連単」をあおりすぎた罪は大きい。

January 28, 2007 03:04 PM 投稿者:村上正洋

2007年01月20日

カ軍田口流マッサージに見た5年の苦闘:村野森

 年末に名古屋を訪れたカージナルス田口壮外野手(37)に「あれ、まだやってるんだよ」と言われた。あれとは、背中のマッサージのこと。プロ野球選手がプレーの前後に体をほぐすのはあたりまえなのだが、田口には独特なやり方がある。トレーナーに任せてばかりいるのではなく、野球のボールを使って自分でやるのだ。

 どうやるのかというと、まず床にボールを置き、その上に仰向けに寝転がる。天井を向いたまま左右の足を軽く踏ん張り、ボールを背筋に沿わせてグリグリ動かすのだ。言われた通りにやってみると妙な気分になる。ボールと接している部分に自分の体重がかかるため確かに「効く」のだが、視線は地べたスレスレ。プライドの高いメジャーリーガーのやることとは、とても思えない。

 元をたどれば、厳しい環境の中で身につけた自己防衛法だった。02年にカージナルス入りした田口を待っていたのはマイナー生活。2年目など、開幕日にマイナー降格を通告された。精神的苦痛は大きかったはず。だが、田口は腐らなかった。トレーナーがいなければ、自分でやればいい。独自のマッサージで体を手入れし続け、少ないチャンスに食らいついてきたのだ。

 昨秋ワールドシリーズを制した直後、田口はカ軍ラルーサ監督に最敬礼を示された。歓喜のグラウンドで顔を合わせるや拝むようなポーズでお辞儀され、さらに抱きしめられた。入団当初では考えられないような感謝と信頼を示されたのは「ハードワーク」であり「試合での状況判断能力」のたま物だろう。そして、5年にわたって見せ続けてきた「前向きな姿勢」が、気難しい指揮官に届いていたのだと思う。

 田口は言う。「オレ、ボールのマッサージ、うまくなったよ。今はこのくらいの筋肉の張りなら大丈夫というのがわかるようになったからね。だから、いやいやボールを使っているわけではぜんぜんないよ」。1人マッサージをいつの間にかプラスに転嫁しているこのたくましさ。感心させられると同時に、5年の苦闘を垣間見た気がした。

January 20, 2007 05:46 PM 投稿者:村野森

2007年01月14日

トヨタ自動車・谷口が日本一目指す理由:桝井聡

 ラグビー・トヨタ自動車のロック谷口智昭(24)が弟に負けじと、自身初となる日本一に並々ならぬ意欲を燃やしている。

 谷口は192センチ125キロの体格を武器に昨年春には、日本代表に選出。トンガ戦、イタリア戦、オールブラックスジュニア戦に出場し代表キャップ3を保有。トヨタ自動車でもFWの中心選手としてチームを引っ張る。その谷口の弟・祐二さん(22)は「日本一」経験者だ。

 祐二さんは立命大アメリカンフットボール部の中心選手。谷口に劣らぬ190センチ、130キロの体格を生かし、OLとして大学3年から学生オールスターに選出されるほどの実力を持つ。大学1年、2年の時には学生王者を決める甲子園ボウルに出場し、日本一に輝いた。

 2人は大学時代から大の仲良しでもある。同じマンションの1階と3階に下宿し、毎晩行き来するほどだ。谷口は「冬なんかは電気代節約のために片方の部屋で一緒に暮らしていました」と振り返る。今でも滋賀県草津市のキャンパス近くに下宿する祐二さん宅に月2回は遊びに行く。お互いが出場する公式戦は、可能な限り応援に駆けつける。

 トヨタ自動車はトップリーグでし烈なプレーオフ進出争いをしている。14日の最終節はNECと対戦する。「ボクは日本一を経験したことないですから。弟には負けていられない。次も死に物狂いでいきます」と谷口は意気込む。プレーオフ進出、そしてトップリーグの頂点を目指す。

January 14, 2007 12:55 PM 投稿者:桝井聡

2007年01月07日

杉山ダービー出場へ一走入魂:津波謙次

 記者の仕事をしていると、どうしてもお正月気分を味わえない。特に競艇に関しては、東海地区にある4つの競艇場が、年末年始にレースを行うから、落ち着くヒマはない。

 毎日、しのぎをけずる選手たちも同様だが、トップレーサーの走りを見ていると、今年にかける思いが伝わってくる。なかでも、4日まで蒲郡競艇に出走した87期の杉山正樹(27=愛知)は、高い目標を持って07年に臨んでいる。「今年の目標はダービーに出ることです」。競馬や競輪と同じく、競艇界もダービー(全日本選手権、10月3日から東京・平和島競艇場)に出ることは容易ではない。優先出場選手以外は、前年8月から7月いっぱいの1年間で勝率上位の選手が選出。約1500人いる競艇選手のなかで、わずか52人しか出られない狭き門だ。

 勝率アップに向けて目前の1走1走が勝負。杉山は全く気が抜けないが、どうしても出場したい理由があった。「あのことがあったから今、頑張ろうって励みになる」。“あのこと”とは、昨年4月までさかのぼる。常滑競艇でG1戦に出走した際、整備規程違反を犯してしまった。後日の褒賞懲戒審議会で1か月の出場停止処分が下ったが、さらに向こう1年間のSG戦及び全国発売のG1戦に出場できない重いペナルティーが待っていた。そのため、今月23日から行われる「新鋭王座決定戦」(G1、大村競艇)にも出場できなくなった。「新鋭王座-」はデビュー7年未満の選手しか出場資格がなく、杉山は最後のチャンスを棒に振った。「今が絶好調だから、本当は新鋭王座に出たかった…」と唇を噛みしめ、悔しがるのも無理はない。

 落ち込んでいても始まらない。そう考えた杉山は、今年のダービー出場に向けて気持ちをリセットした。「もし、今を逃したら僕がSGに出場できるチャンスは、これから一生ないと思う。来月は浜名湖でG1戦が2つ(東海地区選、ダイヤモンドカップ)あって正念場だと思うけど、地道に(勝率を)積み重ねたい」。7月末まで長い道のりだが、集中力を途切らさず、自力でSGキップを勝ち取ってほしい。

January 7, 2007 01:10 PM 投稿者:津波謙次