2007年07月10日

名古屋の都心で「自然」に育つカルガモ:上野竜一

 少し前の話だが、名古屋の中心街・栄に現れたカルガモ親子がちょっとした話題になった。先月14日、名古屋市中区の「ランの館」近くの歩道上で母鳥1羽とひな7羽がうずくまっているのが発見され、敷地内の池へ保護された。

 職員が急きょ、カラスなどの外敵から身を守るための巣箱を池に設置。以来、親子がまとまったり輪になったりしてスイスイ泳ぐ泳ぐ姿が来場者の目を楽しませている。記者も何度か訪れ、愛らしい様子に癒された。

 ランの館のホームページでは、保護された後のカルガモ親子の様子が写真つきの日記で公開されている。以下はホームページより。「5月23日午前9時、ひな2羽が巣箱に入る」「5月28日午前11時、ひながそろって潜水の練習」「6月3日午後8時、池水面で夜間の採餌行動」「6月12日、ひなの翼に羽根のウロコ模様が現れる」「6月15日午前10時、親ガモが飛翔離水時の羽ばたき助走の手本を見せる。ひなが真似て水面を走る」。順調な成長ぶりがうかがえる。

 だがその一方「5月18日午後2時、ひな1羽がカラスにさらわれる。ひな6羽に」「5月19日午前10時、親子すべてが新堀川へ移動。ひなが川へ降りられず川端の駐車場で右往左往。市民からの通報でひな5羽保護。1羽行方不明」「6月4日昼、ひな1羽行方不明。ひな4羽に」「6月15日朝、ひな1羽行方不明。ひな3羽に」。7羽いたひなは、半分以下の3羽になっていた。

 外敵が多い自然界では一般的に、カルガモのひなが親鳥となる確率は2割程度しかいないという。それに比べ、例えば毎年のように話題になる都心の人工池などでは大半が無事に巣立ってゆく。癒しを求める人間の目もあり、施設側も何とか無事にヒナをかえそうと外敵からの保護や世話に躍起になる。それで生存率が跳ね上がるのだ。

 ランの館の河合慎一管理課長(45)は「いろいろな考え方もありますがウチは自由放任。野生の生き物なので過保護にならない形で見守っています」と話す。職員がなるべく様子を見るようにはしているが、えさを与えることはしない。それでもカルガモは池の中の藻や昆虫類、庭園内の草などを食べ、しっかり育っている。

 ここ2,3日、別のカルガモのつがいが池をたびたび訪れているという。「生きていくのにいい場所を探しているんでしょうね」。また近いうちに第2の家族がランの館へ「お引っ越し」するかも知れない。

 7羽中3羽になってしまったと聞けば残念な気もするが、これがあるべき形なのだ。弱肉強食の世界を潜り抜け、翼も大きくなり始めた3羽のヒナは、順調にいけば7月中旬に巣立ちの時を迎えるという。

July 10, 2007 09:37 PM 投稿者:上野竜一