2006年10月17日

堂上兄弟、運命は夢実現への後押し:八反誠

 兄弟からライバルへ--もっとも身近な身内が、身近な敵になる。9月25日の高校生ドラフトで、愛工大名電(愛知)堂上直倫内野手(18)の交渉権を、地元中日が引き当てた。

 星稜松井(現ヤンキース)以来、14年ぶりに中日、阪神、巨人のセ3球団が最上位で重複指名。くじに委ねられた進路は、兄剛裕内野手(21)が在籍する中日に決まった。ちなみに、2人が暮らすことになる合宿所の館長は元中日投手の父照(てらし)さん(55)が務めている。

 直後の会見で堂上は、迷いなく言い切った。「プロになったら、1人のライバルとして、兄に勝てるようにやっていきたい」。

 兄は左、弟は右打ち。左右の違いはあるが同じ内野手。最高峰プロの世界でこの世に2人しか存在しない兄弟が互いの野球人生をかけ、しのぎを削ることになる。

 この兄弟は仲がいい。昨冬、兄は弟に黒い革靴を買った。「これから注目される機会も多いと思うんで」。制服姿の弟の足元を社会人として気遣い、財布からお金を出した。

 弟が2年春のセンバツで優勝した時の帽子には、兄に頼んでペンで書き入れてもらった「自信」の2文字。こんな絆が、支えになったこともあった。

 2人の高校時代を3年ずつ、約6年間取材させてもらった。それだけに、限りのあるポジションを他の才能あふれるプロの選手とともに奪い合うことになるのは正直、複雑な気持ちだ。

 ただ運命は、2人が同じ球団で競い合う道を突き付けた。この現実が2人の夢実現を後押ししたと理解して、複雑な思いは捨て去り、期待を寄せることに決めた。

 阪神、巨人に交渉権が渡れば実現しなかったであろう2人の小さいころからの夢「プロで三遊間を組む」--現実が厳しいことは分かっている。それでもいつの日か、隣り合って躍動する堂上兄弟を見てみたいと思う。

October 17, 2006 08:23 PM 投稿者:八反誠