2008年01月14日

競輪界は「格差」で活性化する:川尻将志

 年金、薬害肝炎問題らと並び、07年を表す代表的なキーワードの1つに挙げられるのが「格差社会」だ。一握りの大企業が収益を上げる一方で、多くの中小企業の業績は低迷。東京と地方の税収を比べても明暗はくっきりと分かれた。もちろん、新聞業界も同じ。一宮競輪場へ行くにも出張費が出る会社があれば、電車を乗り継いで1時間30分以上かけて浜名湖競艇場に行っても、まったく出張費が出ない会社もある。

 「格差社会」の波は本格的に競輪界にも訪れようとしている。先日、07年12月27日から1年間適用されるS級S班のメンバー18人が決定した。最高ランクのS級のさらに上、S級S班は今回初めて創設され、グランプリ出場者、6月の高松宮記念杯から12月の全日本選抜までのG1開催の賞金ランキング上位者の18人で構成されている。いささか選考基準に疑問は残るが、選ばれた18人は現在の競輪界を象徴する顔と言って間違いない。

 S級S班には多くの特権がある。通常、競輪選手は出走する開催を選ぶことができないが、S級S班に限っては基本的に自分で計画を立て、好きな開催に出走できる。G1、G2など、ビックレースにも優先的に出走できるほか、最長1カ月のオフもとることも可能だ。S級S班の1人、豊田知之(40=岡山)も「僕らの年齢だと、調整もしやすくなるし、ありがたいですね」と話すように、選手が常にベストの状態で走ることができれば、よりエキサイティングなレースが増えることにもなる。

 他にもレースのユニホームの差別化や、交通費も特別手当が支給されるなど、S級S班に所属するメリットを数え上げればキリがない。サラリーマンだって必死に「格差社会」と戦っている現代にあって、プロの世界で「格差社会」があるのは当然。むしろ、トップレーサーにとっては新たなステータスの誕生が大きなモチベーションとなり、競輪界の活性化へとつながるはずだ。 【川尻将志】

January 14, 2008 11:25 PM 投稿者:川尻将志