2007年04月04日

旧制度に逆戻り、迷走する競輪界:村上正洋

 競輪界が迷走している。

  3554人(07年2月1日現在)の競輪選手は実力を示す競走得点によって各級班に分けられている。トップレーサーが集う最上級のS級1班(288人)から、デビューしたばかりのルーキーと引退前のベテランが混在するA級3班までS、A2級5班制だ。かつてはS、A、B3級9班と細かく分けられていたが、02年の制度改正にともない現在の形になった。

 旧制度のS級1班は130人。その中でも賞金1億円が懸かる年末のビッグレース、競輪グランプリ(GP)に出場するトッププロ9人は憧れの対象であって、彼らがそろう対戦は日本一を争う年6回の特別競輪(G1)でしか見られなかった。ところが、現在は各競輪場ごとに開催される開設記念競輪(G3)でもGPクラス同士の対戦が珍しくなく、グレードの落ちるS級シリーズ(F1)にも当たり前のように出走する。制度改正の意味合いはS級1班の数を大幅に増やして、低グレードのレースにも上位選手の参加を促すことにあった。そうすればファンの目もF1に向くと考えたのだろう。それまでG1でしか見られなかった上位選手の激突がG3で実現し、ファンの目が肥えたのは事実だ。その反面、G1の商品価値が下がったのも間違いない。2カ月に1度のG1は待ち遠しく思ったものだが、今はそう感じないファンは多いことだろう。

 また、もっとも開催数の多い普通競輪もB級廃止によってA級10レースのトーナメントに改められた。それまで最終日にはA級、B級の2つの決勝戦があったが、今はA級1個レースのみ。残り9レースは敗者同士の対戦とあって盛り上がりを欠いている。

 来年、新たな動きがある。現状を省みてS級1班の上位にSS級を創設する。その人数を絞って(18人の予定)トッププロの希少性を高める意向だ。参加レースもG1・G2、G3が中心となり、出走本数も減らす予定だとか。何のことはない。SS級と名前は違えど結局は旧制度へ逆戻りするだけだ。現状を憂えば改定そのものには記者も賛成なのだが、あまりにもお粗末ではなかろうか。車券を買ったこともないお役人が制度をかき回す姿は、プロ野球のドラフト制度を巡る混乱にも似ている。本当に迷惑しているのはファン及び選手なのだ。(競輪担当)

April 4, 2007 01:55 PM 投稿者:村上正洋