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北海道発・記者ブログ

2007年7月 6日V3のキーワードは「部活スイッチ」?

 オシム監督率いるサッカー日本代表が、3大会連続のアジア制覇に挑む。MF中村俊ら23人のメンバーが、7日開幕のアジア杯(ベトナムなど4カ国共催)に臨む。グループBの日本は初戦(9日、ベトナム)でカタールと対戦する。現体制スタートから約1年…。09年コンフェデレーションズ杯出場につながる今大会は、オシムジャパン1期生の「学年末試験」といえる。

 10年W杯南アフリカ大会出場に向け、格好の腕試しとなる。今大会の出場国はオーストラリア、イラク、オマーン、タイ(グループA)、日本、カタール、UAE、ベトナム(グループB)、中国、イラン、マレーシア、ウズベキスタン(グループC)、バーレーン、インドネシア、韓国、サウジアラビア(グループD)の計16カ国。グループリーグの上位2カ国が準々決勝に進出する。

07070601.jpg写真:W杯フランス大会を観戦する、左からシミズ、ウメダ(フランス・ナント)

 ライバル韓国、06年W杯ドイツ大会初戦で完敗したオーストラリア、底力を秘めるイランなど、相手にとって、不足はない。さらに高温多湿となる真夏の東南アジア開催…。オシムジャパンは強いのか? アジアで勝てるのか? サポーターの胸を打つ、熱きサッカーを見せてくれるのか? シラフネブログ専属評論家の「札幌旭丘の壁」ウメダと「永遠のサッカー小僧」シミズに、日本代表の可能性を検証してもらった。

 ウメダ「う~ん、3連覇は無理でしょう。国際試合はやはり、勝ち進むために基本となる体力、技術、戦術、戦略が備わった上で、一番肝心なのは、気持ちの強さ、でしょう。それが、今の代表には感じられない。ベルティ・フォクツ、フランコ・バレージ、日本でいえば、柱谷哲二、ゴン中山、だね。そういう選手がいないと、ダメなんじゃないかな。特に、平和・安全・総中流社会で育った、日本代表の場合は…」

 シミズ「今回の代表メンバーは、地味ながら、チームに貢献できる選手がそろった。あとは、どれだけ意志疎通(いしそつう)が図れるか、だれがチームをまとめるのか。そういう部分が大事になる。ポイントは、どこで『部活スイッチ』が入るか、だ。蒸し暑い東南アジア。プロである以上、気象条件は言い訳にはできない。ただ、悪条件下の試合で高いパフォーマンスは期待できないだろう。
 が、しかし…。劣悪な条件下でこそ、部活スイッチがオンになるケースが多い。チームやサポーター、保護者や指導者など関係者を思い、仲間を思い、サッカーに対する愛を感じ、自分自身の持ってる以上の力を発揮できる、不思議なスイッチといえる。このスイッチが入ると、動かない体が動き、届かない場所に届き、最後まであきらめない、強いメンタリティーが生まれる。主にトーナメントの大会で発動するんだ」

 97年11月だった。W杯フランス大会のアジア第3代表決定戦(対イラン、マレーシア)をスタンドで観戦した。リアルタイムで「ジョホールバルの歓喜」を味わった。3-2の延長VゴールでFWダエイ、MFマハダビキア擁するイランを下し、日本サッカー史上初のW杯出場を決めた。118分の激闘のすえ、何度も、何度も、はね返されてきた、重い扉をこじ開けた。ラルキン・スタジアムを青一色に染め上げた約2万人のサポーターがピッチ上の選手たちを後押しした。

 あの日、シンガポールから陸路マレーシア入りした。当時インドネシア在住のウメダと現地で合流した。待ち合わせ場所となったジョホールバル市内のシティーホテルは偶然、日本代表の宿舎だった。試合開始まで9時間ほど…。ホテル内は報道陣や一般の宿泊客でごった返していた。期待と不安の入り交じった、異様な雰囲気が漂っていた。昼食を終えた選手たちは、険しい顔つきで自室に戻っていった。

 間もなく-。赤道直下の強い日差しを浴びながら、1人の選手がホテルに戻ってきた。上下パーカ姿でランニングを終えた、FW中山だった。鬼気迫る表情で、全身に闘志をみなぎらせていた。危険なオーラを周囲にまき散らしながら、エレベーターに乗り込んだ。草原で虎視眈々(こしたんたん)と獲物を狙う、肉食動物のように、ツメを研ぎ澄ませていた。視線は前方のただ1点を見据えていた。

 ほどなく-。MF中田英氏がロビーに姿をあらわした。目を守るためなのか。一斉にカメラを向けるカメラマンや一般客のフラッシュをさえぎるように手をかざし、足早に歩を進めた。その後、ティールームの隣席で知人らしき女性と談笑していた。時折ジョークを交えながら、リラックスムードで会話を楽しんでいた。試合直前の緊張感と無縁だった。柔和な表情が、中山とあまりに対照的だった。屈託のない笑顔が、強く印象に残った。

 数時間後-。その両選手が蒸し暑いピッチで結果を出した。前半40分、日本は中山のゴールで先制した。アシストは中田氏だった。さらに1-2の後半31分、再び中田氏のクロスからFW城が同点ゴールを押し込んだ。クライマックスは2-2で迎えた延長後半14分。中田氏のシュートから決勝ゴールが生まれた。こぼれ球を途中出場のFW岡野が右足で押し込み、歴史に残る死闘にピリオドを打った。

 ウメダ「アジア大会のベスト4はオーストラリア、日本、イラン、韓国。決勝はオーストラリア対韓国で決まりじゃないかな。これ以上ないってほどの組合せ、試合順、日程に恵まれた日本は、ベトナム・ハノイから移動なしで準決勝に進出、そこで韓国に完敗…か。唯一の移動が、希望なし、意欲なし、やる気なしモードでインドネシア・パレンバン行きってわけです」

 シミズ「イランのように、明らかに日本より強いチームが存在する。厳しい大会になることは確かだ。ただ、前回大会を思い出してほしい。中国で大ブーイングの中、絶望的な状況から何度も試合をひっくり返した。やはり、部活スイッチの力なんだ。GK川口はスイッチが入りやすい選手。大きな大会になると、自然とスイッチ・オンの状態が続くのだろう。
 Jリーグのレベルは、他の出場国より高い。チームワークを生み出す選手間の融合に加え、部活スイッチが入れば、今の代表でも十分優勝を狙える。問題は、10年W杯予選にいかにつなげていくか、いかに成熟していくか、なんだ。仮に3連覇を逃したとしても、1試合でも多く試合をこなし、長い時間をともに過ごし、1つのチームとなって、帰ってきてほしい」

 「ジョホールバルの歓喜」からちょうど10年が経過した。未勝利に終わった98年フランス大会、ベスト16と健闘した02年日韓大会、そして再び、予選リーグ敗退の屈辱を味わった06年ドイツ大会…。10年南アフリカ大会出場を目指す日本代表は、過去3大会の教訓を生かせるのか? オシム監督を迎え、日本のサッカーは進化しているのか? あせらず、急がず-。今はただ、日本の現状と未来を見据え、代表チームの土台づくりに尽力する、同監督の手腕を信じるしかない。

 学年末試験? に挑む選手たちは5日未明、合宿地ベトナムに到着した。部活スイッチならぬ、スキマスイッチのヒット曲「全力少年」を思い出した。

 あのころの僕らはきっと…。

 全力でアジアの頂点を目指す。「セカイ」の扉を開くために。

 ◆インドネシア通信 現在、インドネシア・ポンレポンでダム建設に従事するウメダから当地の最新情報が届いた。決勝が行われるジャカルタに関して「結論からいえば、市内は大会直前の緊張感もなく、相変わらずの交通渋滞がうっとうしかったね」という。そこで、大会を観戦する日本のサポーターのためにジャカルタおよびパレンバン(3位決定戦開催地)のおすすめレストランを紹介してもらった。
 
 ▽パレンバン=【1】Pagi Sore(パギ・ソレ) パダン料理のお店で朝食および昼食におすすめ。店内は清潔で、味もグッド。市内でチェーン展開してるので、ホテルで聞けば、近い店舗を教えてくれるでしょう②TOKYO(トーキョー) 店名に反して中華料理のお店。細い路地にあるので、Jalan Sayangan(ジャラン・サヤンガン)でTOKYOはどこ、と聞いてください。「Babi Honng」(豚肉料理)が美味。

 ▽ジャカルタ=【1】Bar Bacchus(バー・バッカス) インターコンチネンタル・ホテル地下1階にある、ワインを豊富にそろえたバーです。優勝の喜びにひたるのか、敗退のくやしさをかみしめるのか…。勝っても、負けても、看板娘のReni(レニー)ちゃんに「Tommyの紹介で来た」と告げてください。特典はありませんが…。

白船 誠日(しらふね まさひ)

 北海道札幌市出身。92年北海道本社入社。編集部、販売部、編集部、営業部、編集部を経て07年4月から編集部東京駐在。過去にサッカー、高校野球など担当。1963年12月生まれ。

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