2007年9月10日定年を迎えどう思うだろうか
20年後の自分はどうだろう? ふと考えさせられる機会があった。
中央競馬の取材で、9月いっぱいで定年を迎える厩務員さんと話をしたときのこと。茨城・美浦に住むその厩務員さんは、デビューする2歳馬のために札幌に長期出張している。65歳。定年まで残り1カ月となり、本来なら自宅のある美浦に残って静かに過ごしたいとの考えもあるはず。当人も「来るとは思わなかったんだけどね」と話したが、「テキ(調教師)が気を使ってくれたんだろう」と表情は明るかった。
担当する2歳馬は、厩務員さんには思い入れの深い血統。数年前に担当していた兄2頭がともに重賞を勝った。2歳馬の今後を考えれば、10月以降も継続して担当できる厩務員さんに任せてもおかしくない。調教師さんにしてみれば、短い期間でも血統的な特徴などを知る厩務員さんに任せたいという考えもあったのだろうが、最後を飾らせてあげたいという思いもあったのだろう。そんな配慮を感じながら、厩務員さんは「25歳でこの世界に飛び込んで40年やってきたが、いい経験をさせてもらった。感謝しているよ」と感慨深げな表情だった。その2歳馬は今月2日に無事デビュー(6着)した。
自分は、定年を迎えたとき、この仕事に就けて良かったと振り返られるだろうか? この会社で良かったと思えるだろうか? 職業柄、休日を返上して働くことも珍しくない。帰宅するのは家族が寝静まってからの深夜が多い。家族には苦労を掛けていると思う。
生活していくため、仕方ない…。そんな後ろ向きな考えではいかん、いかん。何年たっても厩務員さんのような気持ちになることは無理だろう。まあ、多少の不満はあれど、好きな仕事には違いないし、得難い経験もさせてもらっているのだから。