2007年4月27日出会いは最高の楽しみ
さまざまな人と出会い、話を聞けるのは、記者職の一番の楽しみ。それは、スポーツ選手、タレントなどの有名人に限らない。
先日、ばんえい競馬の競走馬のオーナーを取材する機会があった。デビューから15戦14勝の成績で新スター候補として注目されているマルミシュンキ(牡4)を所有する札幌の宮本康弘さん。愛馬への思い、ばんえい競馬を盛り上げたいという思いに触れ、感銘を受けた。
宮本オーナーは、札幌で創業73年になるふとん店を経営している。競走馬のオーナーはあくまで趣味の域だが、マルミシュンキには「負けることは許せない。そう思っていますよ」という。競馬場では他馬もおり1頭の調教時間は限られるため、自らのもとに置いて調教を施す徹底ぶりだ。
「私は商人だから」と言って、宮本オーナーはこう続けた。「ふとん屋は、ふとんを買ってもらわないと始まらない。お客さんに喜んでもらわないと、商売は成り立たない。競馬も同じ。競馬場に行くたびに負けてお金がなくなるようじゃ、お父さんだったら、奥さんからも文句を言われるでしょう? そうなれば競馬場からも足が遠のいてしまう。家族を連れて出掛けたお父さんが馬券でもうけて、『じゃあ、今日の夕食は豪勢にいこうか』ということもなきゃあ、面白くないでしょう」。
難解なレースばかりじゃ、購買意欲は高まらない(ばんえいは、平地競走に比べ特に推理が難しい感じがするし…)。一獲千金もいいけれど、初心者でも買いやすい、買いたくなるようなレースを提供することも、競馬場に足を運んでもらうための良策の1つだ。「この馬から馬券を買えば当たる」。宮本オーナーは、マルミシュンキをそんなふうに、支持してくれたファンを常に喜ばせられる馬に育て上げたいという。
競走馬は経済動物ともいわれる。レースに出走しないことには稼げない。しかし、宮本オーナーは、たとえ出走回数が少なくても「万全じゃないと使わない」との考えを貫いている。07年度開催は27日にスタートしたが、マルミシュンキの初戦は5月になる予定だ。継続中の8連勝からどこまで記録を伸ばすのか。ばんえいの明るい話題になるので早く出てきてほしい気持ちもあったが、焦らず待ちたい。
取材当日、話を聞き終えて帰る際、宮本オーナーは一緒に外にまで出てくれ、深々と頭を下げながら、私が車を発進させるまで見送ってくれた。大きな会社を経営する社長である。私が逆の立場なら、同じ応対ができたかどうか。尊敬できる人に出会えたと思う。