2006年12月15日札幌競馬場の大逆転劇
今年のホッカイドウ競馬ほど、リーディング争いに注目したことはない。勝利の行方は最終日最終レースまでもつれ込んだ。こん身の仕上げで今年度ラストランの管理馬を送り込む厩舎サイド、それに応えようとする騎手。スタンドのファンは白い息を吐きながら、その真剣勝負に熱い声援を送っていた。
ラストウイークで3位に付けていたベテラン原孝明師が2年ぶり5度目の首位に返り咲くという、調教師部門の劇的なフィナーレも見応え十分だったが、騎手部門はそれ以上にし烈だった。6年連続7度目の栄冠を手にした(もぎ取った、という方が妥当か)五十嵐冬樹騎手には本当に感動させられた。
ラスト3日間でトップ山口竜一騎手との差は8勝。記者も含め「誰もが逆転はあり得ない」と思ったはず。しかし、最終日になんと5勝の猛チャージで追いつき、2着数の差で上回り、首位に立つという離れ業をやってのけた。鳥肌が立った。取材ノートは無意識のうちに強く握るあまりくしゃくしゃになり、インタビューのメモはほとんど白紙状態だったのを今でもはっきりと覚えている。
2位に敗れたベテラン山口騎手が言った。「悲劇のヒロインみたいだね」。まさにその通りだと思った。日本ハムが44年ぶりの日本一に輝いた数日後、札幌競馬場でも「シンジラレナーイ」出来事が起こった。
新興勢力が躍進し、ベテランが意地を見せた。共通点は「決してあきらめない」ことだった。記者もこの精神を見習わなければ、そう思った、思わせてくれたシーズンだった。