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北海道発・記者ブログ

2007年11月22日ハッとした出来事

 ある焼き鳥店に先日、友人と2人で入った。こぢんまりした店で、カウンター内に“職人”という感じの中年男性が1人黙々と鶏肉を焼いている。配ぜん係の若い男性が2人。3人で店を切り盛りしていた。

 主に名古屋コーチンを出す店で、メニューにはほかにも「フランス産シャラン鴨」「ピジョン」など見慣れないものまでそろっている。ちょっとこだわりの店だ。そのとき店内にいた客は自分たち2人だけ。やや緊張しながら乾杯した。

 15分ぐらい過ぎて、酒のお代わりを頼んだ。我々以外に客はいないので、配ぜん係もしばらく奥に入っていた。仕方なくカウンターの中で鶏肉を焼いている男性に直接言った。「焼酎お湯割りを2つお願いします」。一瞬こちらを見て、再び焼いている肉に集中した。“あれっ、聞こえてましたよね”。つい言いたくなった。5分ほど空のグラスをながめながら配ぜん係が顔を出すタイミングを見計らっていた。

 担当分けがしっかりしているのだろう。ただ、この状況で、焼き場から奥の配ぜん係に「はい、焼酎2つ入ったよ!」と声を掛けることぐらいはできるはず。微妙な空気に自動車のセールスマンをしている友人が機嫌を損ねた。いまひとつテンションが上がらず飲み直すことになった。

 2軒目で友人は「世の中CS。CSなんだよ」と繰り返した。現代の日本の自動車は、メーカーごとに性能がそう大きく変わるわけではない。車を販売する際の応対、販売後のアフターサービスや保険の相談などで、いかに客を安心させられるかという「顧客満足度=CS(カスタマーズ・サティスファクション)」が少しずつ売り上げの差に表れるらしい。「どんなにうまいものや、いい車出したって客が満足してなけりゃ、なんにもならないね」。少し考えさせられる一言だった。

 果たして自分は新聞編集の過程でどれだけ読者のことを考えているだろうか。自己満足な紙面作りに走っていないだろうか。分かりやすい見出し、読みやすいレイアウトに徹しているだろうか。2軒目を出ようとしたとき、言いたいことを吐き出して機嫌を直した友人が、真顔で言った。「ところで“ピジョン”ってどんな鳥なんだろう? ケンタッキーみたいな食感だったけど」。

 この友人には、いつもハッとさせられる。

 ポロッポー。

永野 高輔(ながの たかすけ)

 茨城県水戸市出身。06年北海道本社に入社。編集部東京駐在で整理業務担当。学生時代は両親が指導者だった影響でフェンシングに熱中。競技歴15年。00年富山国体出場。好きな食べ物は札幌・カリー軒のハンバーグカレー。1973年7月生まれ。

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