2007年10月27日月寒で何かやっているのですか?
今日から日本シリーズが始まる。舞台となる名古屋と札幌で先日、タクシーのドライバーから同じ質問を受けた。「お客さん取材かなんかですか?野球盛り上がってますねぇ」。パソコンとカメラと着替えでふくれた私のバッグを見て、記者だと思ったのだろう。名古屋には13、14日と出張した。同日、ナゴヤドームでセ・リーグクライマックスシリーズ(CS)第1ステージ中日・阪神戦が行われていた。市役所や久屋大通近辺では「名古屋まつり」も催されており大変にぎわっていた。
札幌には20、21日と出張で訪れた。到着2日前の18日には、札幌ドームで日本ハムがロッテとのパ・リーグCS第2ステージを制し日本シリーズ進出を決めていた。いまだ余韻さめやらずという感じで、札幌のドライバーは「北海道の景気は悪いけど日本ハムは元気だねぇ」と勝利を喜んでいた。
私の取材は、いずれもプロ野球ではなかった。名古屋ではナゴヤドーム隣の「東スポーツセンター」、札幌では札幌ドームと同じ豊平区の「月寒アルファコートドーム」に向かった。どちらの場合もドライバーから不思議そうな顔で「今日何かやっているのですか?」と問われた。私は「バスケットボールが…」と答えた。「はぁぁ」。明らかに興味のない人の反応だった。
札幌で乗ったタクシーのパワーウインドーにはしっかり「20、21日 日本バスケットボールリーグ レラカムイ北海道ホーム開幕戦 会場・月寒アルファコートドーム」というシールが貼ってあった。「これを取材するんです」と説明すると運転手は「え? あっ、自分たちで貼っておきながら気付きませんでした…すみません…」と恐縮していた。
北海道3つ目のプロチーム、レラカムイ北海道が好調なスタートを切った。14日、名古屋での三菱電機戦で初勝利を挙げ、20、21日のホーム2連戦で連勝し計8362人を動員した。ただ、プロ野球、プロサッカーに比べるとバスケットボールリーグの認知度はいまいちだと感じる。北海道に住んでいた4年前、取材で札幌厚別公園競技場に向かうときは「コンサドーレですか?」円山球場に向かうときは「高校野球ですか?」苫小牧白鳥アリーナに向かうときは「アイスホッケーですか?」とドライバーに聞かれた。「何かやっているのですか?」という質問は、スポーツ取材に向かうタクシーの中で自分が聞かれた質問としては関心度の最低レベルにあると思う。ドライバーの認知度が単純にスポーツ人気に直結しているとはいわない。ただ、多くの乗客から老若男女ランダムに入手される彼らの情報は、街の関心事を比較的ダイレクトに反映しているのではないだろうか。
レラカムイ北海道は公式練習場が決まってない。その影響か公開練習が少ない。道民の関心を集めるために、いち早く改善すべき点ではないだろうか。コンサドーレ札幌では例外を除き、練習は公開されている。日々の練習後、引き上げる選手にファンがサインや写真を求めて群がる。取材も礼儀さえ守れば、自由に選手に話しかけられる。パ・リーグ連覇を果たした日本ハムに至っては、日本シリーズ対策として23日に札幌ドームで行った紅白戦を無料解放するなど、無償のサービスにひたすら時間を割いている。ファンと交流を図る各種イベント活動も、効果がないとはいわない。ただ、選手のプレーを気軽に見てもらえる最低限の環境を作ることは、チームの存在を周囲に認識させる大きな要素だと思う。
札幌で日本ハムやコンサドーレ札幌の試合がある場合、開始時間を把握しているタクシードライバーが多い。試合終了時の会場付近に客が集まるからだ。“今日、レラカムイですか?”。本拠地・月寒アルファコートドームに向かうタクシーで、そんな質問が普通に聞かれるようになったら、北海道のバスケットボール人気も徐々に浸透していくのではないだろうか。